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クリードの会社更生法申請に思う
 
 2009年1月9日、不動産流動化銘柄の草分け的な存在であったクリード(東証1部:8888)が、2008年11月中間決算発表を目前に控えて会社更生法の申請となりました。昨年からこのブログでとりあげてきたゼファーアーバンコーポレーションの不動産流動化銘柄2社は民事再生法の申請でしたが、クリードは、会社更生法を申請しています。
 民事再生法ではなく会社更生法を申請したのは、倒産後、一瞬たりとも旧経営陣が残留することは、債権者・株主の手前、まかりならんということもあったのかもしれませんが、それ以上に債権者の担保権実行を阻止して、少しでも倒産時の会社財産の流出を阻止したかったということがあるのかもしれません。これで、在庫不動産に担保権をがっちり設定していた金融機関は、民事再生法よりは、動きづらくなるでしょう。

 クリードは、不動産不況が続く1996年に、伊藤忠商事出身の宗吉氏により創業され、1998年頃から、不動産デューデリジェンス(DD)事業を手がけ始めます。この不動産DD事業は、当時、国内金融機関の担保付不良債権を買い漁っていた外資系金融機関・ファンド等を主要顧客にして大きく成長し、1999年頃からは、この不動産DDスキルを生かしながら、自らリスクをとって、不良債権等への投資を始めます。
 そして、2000年11月には、不動産ファンドを立ち上げ、本格的な不動産投資事業を始めて大きく飛躍し、2001年1月には、創設されて間もないナスダック・ジャパン(現ヘラクレス)に上場します。
 クリードは、上場当時から商社出身のCEO宗吉氏、会計士出身であるCFO松木氏(2005年に退任)による「ノンアセットモデルの新しいタイプの不動産評価・投資会社」として非常に注目されていました。私の記憶が正しければ、同じ年にJASDAQに上場したパシフィックマネジメント(現パシフィックホールディングス)と共に、不動産ファンドビジネスを主力とする日系企業としては最も早い時期の上場だったのではないかと思います。
 クリードは、上場後も、不動産再生ファンド、REIT創設など、業界に先駆けて新しい不動産ビジネスを立ち上げ、折からの不動産市況回復の追い風も受けて、破竹の勢いで成長します(下図、金額単位は千円)。当然ながら、株価の方も2006年1月のライブドアショック前の天井まで、一気に駆け上がりました。

Creed

 上図を見ると、2007年5月期以降は、私募ファンド等のSPC連結の影響はあるものの、急成長に伴って資産規模がどんどん拡大してきたことがよくわかります。この成長を維持し続けるためには、新たな不動産を購入し続けなくてはなりませんから、他の不動産流動化銘柄同様、営業CFは赤字傾向が続きます。

 クリードは、アーバンコーポレーションなどに比べると、不動産市況の変化に伴い、比較的早めに戦線縮小に動いていたような形跡がうかがえますが、やはり最後は資金繰りがつかなくなりました。2008年5月の有利子負債残高87,966百万円のうち、実に67% に相当する58,940百万円が1年以内に返済義務のある短期借入もしくは社債でしたから、いくらノンリコースローンが多いとは言っても、在庫が想定した時期に捌けなくなって滞留するなり、廉価で叩き売って想定通りの入金がない場合には、間もなく資金繰りが逼迫します。つなぎ資金バッファーとして用意されていた頼みのコミットメントライン21,900百万円も2008年5月末時点で17,610百万円が既に使用済で、昨夏以降、綱渡りの資金繰りが続いていたものと推測されます。

 2008年8月末の第一四半期決算を発表した後のプレスリリースを読んでみると、その転落の様子がよくわかります。10月に宗吉社長の持株が担保権実行により市場で売却され(これは、アーバンコーポレーションと同じですね。社長が一体、どこの企業の株式を購入するために、担保差入をしていたのかは気になるところです。)、11月には、業績予想の大幅下方修正の発表があり、社外取締役と社外監査役が「一身上の都合」で退任し、その後、代表取締役で実質的なNo2である長谷川氏も退任しています。(なんかこのあたりのどさくさに関しては、少し嫌な匂いがします。このあたりのサイトをご参照下さい。)
 悪いことは重なるものです。同月には、証券取引等監視委員会から、REITへの不動産売却の際の譲渡価格の不透明性が告発され、処分を受けています。12月には、従業員の4割相当の人員削減を行う大リストラを敢行しましたが、「時既に遅し」でした。(従業員の割増退職金が既に支払われていることを祈ります。)

 この会社は、個人的に、草創期の頃からよく知っていた上、市場は違いましたが、自分が上場審査官だった時代に上場した銘柄だったこともあって、とても思い入れの深い企業であったため、少し書いてみました。
 クリードの破綻で、不動産ファンド流動化ビジネスは、一つの時代が終わったような気がします。1997年、98年の金融機関の破綻をきっかけに派生した不良債権ビジネスで時流に乗った会社が、10年の歳月を経て、これらの金融機関同様、「アセットビジネスに付随するレバレッジリスク」が顕在化して破綻したことになります。歴史はやはり繰り返すものなのでしょうか。(そういえば、パシフィックの方はまだ大丈夫なのでしょうか・・・)次の景気回復期には、また、新たな形のアセットビジネスが生まれるのかもしれません。
| cpainvestor | 00:33 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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