Entry: main  << >>
知の呪縛
 
 誰しも自分の専門分野に関して、「いかにして難しいことを正確に分かりやすく、かつ聞き手の記憶に残るような形で伝えるか」ということに頭を悩ませた経験があるのではないでしょうか。特に、自分の専門であればあるほど、「情報の客観性・正確性を重視しよう」として統計的数字を駆使してみたり、「複眼的な視点を提示しよう」として、いくつもの説を併記したりして、「結局何が言いたかったの?」というプレゼンや解説をしてしまったことがある方も多いのではないでしょうか。

 今日、ご紹介する書籍、チップ・ハース、ダン・ハース著「アイデアの力」(原題 Made to Stick – Why Some Ideas Survive and Others Die )は、情報の発信者が、その情報を知ってしまったが故に、それを知らない受信者の気持ちがわからなくなるという現象を「知の呪縛」と名付けて、それをどのように克服していったら良いのか、「聞き手の記憶に焼きつくメッセージ」の特徴をSuccess:Simple Unexpected Concrete Credentialed Emotional Storyというコンセプトにまとめて非常にわかりやすく説明しています。さすがに全米150万部ベストセラーのビジネス書だけあって、その内容は、(後書きの勝間女史の解説は必要ない気がしますが)1,600円の価値が十分にある良書だと思いましたので、ご紹介することにしました。

       


 自分への備忘録を兼ねて、この本の記憶に残ったメッセージを書きとめておきます。

Simple:単純明快である
・ 3つ言うのは、何も言わないのに等しい
・ 考え抜かれた単純なアイデアは、行動を決定する驚異的な力を持つ
・ 簡潔なメッセージは記憶に焼きつくが、それと価値があることとは別物である

Unexpected:意外性がある
・ どきりとさせる意外なメッセージの伝え方で聴き手の類推機械を破壊する
・ 優れた文章は、全て謎かけで始まっている
・ 好奇心が生まれるのは、知識に隙間を感じたときである

Concrete:具体的である
・ ブドウにケチをつけるイソップの寓話の方が、抽象的な助言よりわかりやすい
・ 優れた教師は、アイデアのフックの数を増やすコツを知っている

Credentialed:信頼性がある
・ 信頼性と効果の大部分は、その地域ならではの細部が支えている
・ 統計はそれ自体が役立つわけではない。役に立つのは尺度と文脈だ
・ ホワイトハウスの式典で料理の注文を受ければ、どこからでも注文を取れる

Emotional:感情に訴える
・ 自分の父親が「いけてるね」などと言い出したら、その言葉にもうインパクトはない。
・ 抽象的メリットを語らず個人的メリット、メリットのメリットだけを語れ
・ 共感は全体からでなく個々の事例から生まれ出る

Story:物語性がある
・ 物語には、シミュレーションと励ましという驚異的な二重効果がある
・ 人を励ます物語には、「挑戦」「絆」「創造性」の3つの筋書きがある


 この本、いわゆるマーケティングノウハウ本としても十分に使えるものなのだと思います。「知の呪縛」に心当たりのある方ほど、原点に立ち返って、この本に書かれているチェックリストで、自分のアウトプットを見直すと良いかもしれません。私もさっそく、今週予定されているプレゼンで実践したいと思います。

 ただ、この本のテクニックを駆使して、最初は「記憶に残るメッセージ」を聴衆に伝えることができても、「本物の中身」がなければ、プロフェッショナルとして長続きはしないでしょう。

 「わかりやすく伝える努力を続けること」、「プロとして厳しい顧客の要求に応える実務の第一線に立ち続けること」この両立を、個人的にはできる限り目指していきたいと思っています。
| cpainvestor | 00:04 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
09.2.12開示によると、ウェルネット(2428)を親会社、一高たかはし(2774)を完全子会社(上場廃止)にする株式交換を行うそうですが(親子逆転)、よろしければこれについてどのような見方をするべきか、ご教示をいただけないでしょうか。(ちなみに私はどちらのホルダーでもありません。)

条件について簡単に記しますと、

交換比率は一高たかはし株1株に対しウェルネット株0.0026株。
一高の保有する自社株137万株(四季報ベースでおよそ9%分)は全て消却。
株式交換によりウェルネットが発行する新株数は35819株。
一高たかはしが保有するウェルネット株35950株(元々のウェルネットの発行済み株式77080株の46.64%。新株発行後は31.26%)の処分については、今後慎重に検討とのこと(一高が完全子会社になると、保有ウェルネット株を消却することも可能?)

私の理解としましては、

一高たかはしの株主としては、多くはウェルネット株の含み益の顕在化を狙っているのに、それを顕在化させずにウェルネットの株に交換させられることになるので面白くない。

ウェルネットの株主としては、別に欲しくもない一高たかはしの事業を傘下におさめるために、新株を発行するのは面白くない(前述のように一高保有のウェルネット株を消却できるなら、ほとんど株数変わらないので、あまり影響なし?)。

といった感じで、一般少数株主には(特に一高の株主)あまり歓迎されないのではないでしょうか。

何卒ご教示のほど、よろしくお願いいたします。
Posted by: anzeniki |at: 2009/02/16 8:19 PM
anzeniki様

 またまたエントリーに関係のない個別事例の込み入ったご質問をありがとうございます(笑)。

 この個別事例にマニアックに回答すると、活字にすることのリスクもあるような内容かと思われます。

 時間ができたときに、気が向けばもう少し一般化して、ゆるりと考えてみたいと思いますが、この事例に関する詳細な回答はご容赦下さい。

Posted by: cpainvestor |at: 2009/02/19 1:09 AM
了解いたしました。

たまたま面白そうな開示だったので、エントリーに関係なく不躾な質問をしたことをお許しください。

Posted by: anzeniki |at: 2009/02/19 8:25 PM








Trackback

Calendar

1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     
<< April 2018 >>

Profile

来訪者数(11/18/07より)

クリックで救える命がある。

経済・投資情報


Shops

Oisix(おいしっくす)/Okasix(おかしっくす)

過去の人気エントリー

Search

Entry

Comment

Trackback

Archives

Category

Link

Feed

Others

Mobile

qrcode