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セミナー屋ではなく、実務家たれ
 
 私も専門家のハシクレとして、個として何かの機会毎にアウトプットを残すことは、「自分自身を鍛える」という意味で、とても大切なことだと思っています。その思いもあって、時々、企業様のセミナー講師なども可能な範囲でお引き受けしているのですが、何件か立て続けに講師業務が続いたりすると、「さすがにこれはまずいだろう」という不安がよく頭をもたげてきます。

 世の中には、とてもお話の上手な売れっ子セミナー講師という方々が各分野にいらっしゃって、会計専門家の世界にもそういう方が何名もいます。そういう方々の講演を聞く機会に恵まれると「こういうつかみネタはうまいな。」とか、「こういうロジックで話を持っていくのか。」と、プレゼンセオリー的に参考になることも多いのですが、正直なところ、「話の中身はすっかり忘れ、話の仕方が上手だった」という印象しか残らない人がかなりいます。

「なぜ、話の仕方しか印象に残らなかったのか?」ということを考えてみると、いくつかの問題点に行き着きます。

相手の話を聞くばかりで、講演の中で自分自身が考える機会がほとんどなかった

事例が陳腐化したありふれたものばかりで、インパクトに欠けた

沢山のテーマが盛り込まれすぎていて、どのフレーズも印象に残らない


 ,蓮△そらく「問いかけ」と「間」の問題のような気がしています。講演者が一方的によどみなく話すと、聴いている側は「なんとなくそんなものかな」と聞き流してしまうのです。聴衆に対する「問いかけ」と聴衆が考える「間」があることで、聴衆は自分自身の問題として考える時間ができます。(もちろん、演習などができれば、なお良いのですが、多人数ですとそれはできないことも多いです。)話の内容を相手の記憶に残すために「問いかけ」を意識的に行い、「間」を作ることは、「笑い」をとることよりもずっと重要であるような気がします。

 △蓮△笋呂螢廛蹈侫Д奪轡腑淵襪箸靴討亮駄海おろそかになっていることが最大の原因なのだと思います。効率良く同じテーマ(もしくは自分の著書の内容)の講演ばかりやって、顧客の問題解決を一緒に考える時間が減ると、どうしても新しいヒントが得られなくなり、自分の持っている情報が陳腐化します。また、実務経験の不足を補うために、本や新聞・雑誌のネタを仕込んでそれを基に一般的なコメントする評論家のようなことばかりやるようになると、勉強熱心なレベルの高い聴衆は、そっぽを向きます。「そんなの本を読めばわかる」となってしまうのです。不況の中でも元気の良い企業として「任天堂」をとりあげるのではなく、「自分がコンサルしている不況知らずのとある美容室」の話の方がずっと面白く聞けます。
 この問題を回避すべく、多くのセミナー講師は、聴衆者のレベルをより入門者レベルに下げるなり、自分のファンとなってくれた方々だけに聴衆者を絞るといったマーケティング手法をとるわけですが(しかもその方が短期的にはものすごくプロフィッタブルだったりします)、残念ながらこれだと二度と以前の高いレベルの聴衆を新規顧客にすることができなくなります。
 前々回のコラムでとりあげた、ランチェスターの弱者戦略に従うと、「商売に徹する以上、自分の組しやすい相手だけに顧客を絞り込むのは当然だ」ということになるのかもしれません。しかしながら、私の場合は、要求の極めて厳しい顧客の要望にも応えられる「第一線の専門家・実務家」としてもうしばらくやっていきたいと思っているので、あまり若いうちから、安易に登るべき山を下山しはじめて裾野展開をしてしまうことに不安を感じます。冒頭のタイトル「セミナー屋ではなく、実務家たれ」というのは、私が師匠から頂いた言葉ですが、多少目先の効率が悪くなろうとも、この言葉を肝に銘じて、現場の実務優先でもうしばらく仕事をしていきたいと思っています。
 
 は、よく私もやってしまうミスなのですが、聴衆へのサービス精神を全開にして、あれもこれもとコンテンツを盛り込んでしまうと、結局、時間切れになってしまい、聴衆に何も印象に残すことができなくなってしまいます。これを防ぐには、テーマを「ちょっと少ないかな」と思うほど絞り込み、講演を「ちょっと話し足りないかな」と思うくらいに留めて、「印象に残るワンフレーズ」をゆっくり何度も「想い」をこめてリピートするのが効果的だったりするわけです。わかってはいるのですが、本当になかなかできないんですよね。これが。

 私自身、まだまだ修行中の身ではありますが、´↓の問題点で地雷をできる限り踏まないよう日々訓練を重ねながら、機会のあるごとに、少しでも「第一線の現場の知」を聴衆の皆さんにうまくフィードバックしていきたいと思っています。

 6月は、「業績の先行管理」というテーマで少し話をする予定です。「なんでお前らの立てた事業計画はいつも大きくぶれるんだ!」「リスクばかり指摘するのではなく、次の打ち手を考えて来い!」と上司から叱責されたご経験のある中堅・中小企業の実務担当者の皆様、マスク着用での参加をお待ちしております。ちなみに、こちらのセミナーは公募型でかつ無料です。ただ今、夜な夜な原稿作成中です(笑)。
| cpainvestor | 11:57 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
ある程度、仕事が出来るようになると、演者が本物か、ということに気が行くようになりますよね。それが気になるのは、△離院璽垢任△蝓▲廛蹈侫Д奪轡腑淵襪箸靴討亮駄海おろそかになっていることが背景にあるんだと思います。

僕も「セミナー屋ではなく、実務家たらん」としているのですが、同業者を見る場合、一にも二にも、その人が実務家かどうかに目が行きますね。

業種は違えど、「似ているな。」と強く思い、コメント致しました。
Posted by: のっぽ187 |at: 2009/05/24 10:26 PM
のっぽ187様

ときどきブログを見させていただいております。お体、だいぶ回復されているようで、良かったです。

現場の第一線で実務に携わっているからこそ、見えてくることは多いですよね。そういうこと、お互い大切にしたいですね。

ブログの方も楽しみに見させてもらいます。
Posted by: cpainvestor |at: 2009/05/29 11:26 PM
御無沙汰です。セミナー。。。居てみたいなと思いましたら予定がだめでしたー。
ブラウザ変えてから暫く来られてませんでした、また、来ます。
◆rita◆
Posted by: rita |at: 2009/06/07 12:25 PM
rita様

いろいろてんぱっていてお返事遅くなりました。お元気ですか?

また、次回のものもそのうちご案内しますので、興味がある内容であれば、きてみてください。

Posted by: cpainvestor |at: 2009/06/19 5:27 PM








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