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アントレプレナーシップとアカデミズム


 今日は、久しぶりに、ずっと親交のあるソフト会社の元経営者の方と夕食を共にしました。

 彼(ここではX氏とします)は、日系の大手ソフト会社から、外資系IT会社へと転職し、その後、30代半ばで、ある有名企業からのコンサルティングオファーをきっかけに、自分のITコンサル会社を立ち上げます。ピンで社長が活躍するコンサル会社は山ほどありますが、彼はきちんと従業員を雇い、教育して戦力化し、自社パッケージ開発を成し遂げ、人の縁と持ち前のバイタリティを武器に、超優良顧客への自社製品の導入を実現します。私は、ちょうどこの頃、この会社がいよいよIPOに向けて舵を切ると宣言した時からおつきあいが始まりましたが、当初は、ベンチャーではなかなかお目にかかれない人材スペックと顧客リストにとても驚いたものでした。

 最終的にX社長は、自ら起業した会社を、特定の業界では「ああ、あの会社さんね」と名前の通った立派な会社に育てあげ、特定事業は大手上場企業に売却し、残った会社の経営は自ら育てた後進に譲っています。こう書くと、極めて分かりやすい一つの「起業成功物語」のように聞こえますが、そこに費やされた15年以上の歳月の中では、様々な紆余曲折、アントレプレナーとしての苦しみや悩みがあり、私が知っているだけでもここで簡単に書けない出来事が沢山ふりかかってきておりました。

 現在、このX社長は、自社の特定事業を売却した相手先企業の顧問や、元の顧客企業のコンサルタントをしながら大学で博士号を取得し、ビジネススクールで起業論や、ビジネスプランニングの講座を担当する大学講師として教壇に立っています。学歴自慢だけがとりえのビジネス経験のない学者でもなく、士業やコンサルタント上がりの評論家でもない彼の講義は、実体験に基づく説得力があり、毎回のように多彩なゲストが来場する学内でも評判の人気講座となっているそうです。私がもし、大学でもう一度学びなおす機会が与えられるとすれば、高名な先生に師事するより、彼に弟子入りしたいと思っています(笑)。

 X社長曰く、大学のセンセの中には、「自分の講義での負担をいかにして減らすか」ということばかり考えて、「担当する講座の受講者数は少ない方が良く、できるだけ少数の頭の良い学生とだけつきあいたい」と思っている方も多くいるそうです。

 「評論家活動ばかりして、世間でどれだけ名前が売れていたとしても、こんな人達が担当するMBA講座を高いオカネを払って受講する学生は不幸だよね。僕はこの現状を少しでも変えるためにも学内一の人気講座を主催したいね。そして、そこから一人でも起業家が生まれてくれたら、もうこの世で僕がやり残したことはないね。」

 相変わらず好奇心とバイタリティ旺盛なX社長の威勢の良い発言を聞きながら、「こういう大学教員がもっと増えることが、この国には必要なんじゃないか」とふとそんなことを思った晩餐でした。

| cpainvestor | 00:48 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
いつも楽しく勉強させてもらってます。
今回の話、もしよろしければX先生のお名前公開いただくことは難しいでしょうか?
まさに、不景気のさなかですが、勉強を始めてみようと考えています。
Posted by: niko |at: 2009/07/02 11:15 PM
niko様

 お名前は、ご本人に了解をとらないと難しいかもしれませんので、重要なヒントを一つご提示しておきます(笑)。

 X先生は、「儲けの戦略」という書籍を共著で書かれています。二人に絞られましたね(笑)。



Posted by: cpainvestor |at: 2009/07/03 12:58 AM
Cpainvesterさま
ありがとうございます。
まずは、本を手がかりに
梅雨の雨音を聞きながら。
Posted by: niko |at: 2009/07/04 12:41 AM








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