最近、本業の方では、コミュニケーションに費やす時間がとても多くなりました。特に、メールではなく、人と電話や直接会って話をする時間が以前に比べて圧倒的に増えました。社内調整に多くの労力が必要な典型的な日本企業の組織風土による影響も間違いなくあるとは思うのですが、それ以上に、顧客への提案営業や交渉、スタッフの人事評価の面談や教育などに使う時間が実質的に増えていることが背景にあるのだと思います。
こういう時間が増えてくると、「いかに人と人とのコミュニケーションを円滑化させるか」ですとか、「どのように交渉事を進めると、双方にとってより良い結果が得られるか」といったことばかり考えるようになることから、およそ会計専門家らしくない心理学系の本ばかり目がいくようになります。また、最近は、本業と直接関わるファイナンス系書籍であったとしても、「合理的期待」ですとか「効用最大化」から一歩離れた「行動ファイナンス」系の書籍を読むことが多くなりました。
今日ご紹介する書籍「影響力の武器 実践編 イエスを引き出す50の秘訣」(下図左)は、私と同じような関心・悩みを持つ方には非常に役立つ書籍だと思います。この本は、人間の様々な嗜好、クセのうち、アカデミックな分野における実験で明らかにその傾向が証明されているものを50個とりあげて、それらをうまく活用することで、人をうまく説得するようなテクニックを多数紹介しています。以前にも紹介した「影響力の武器(第二版)」(下図右)の姉妹編といえますが、より実践的で、簡潔にまとまっており、お値段も安いので、「理論はいいから、実践ですぐに使いたい」という方には、オススメの書籍です。Eメールと電話を用いた説得効果の実験結果なども記載されていますが、誰もがなんとなく理解している「行間やニュアンスが伝わらないEメールの弱点とその対処法」が明らかにされていて興味深いです。
この本を読むと、世の中のマーケティングや交渉テクニックのほとんどが、既にアカデミックな分野で証明されている人間心理のクセをうまく利用したものであることがよくわかります。こういったテクニックをマインドコントロール的に悪用するのは厳に慎むべきだとは思いますが、「自分自身が騙されることを防ぐ」という意味でも、知っていて損はないことばかりです。(というか、言われてみれば、そういう傾向は確かにある!といった思い当たることばかりの内容だったりします。)
無理に「50の秘訣」にまとめた感もややあって、「影響力の武器(第二版)」に比べ、若干記述の荒さは目立ちますが、内容そのものは、セールスやカスタマーサポート職の方ばかりでなく、「専門知識・技術の次の次元での差別化」を考えている特定分野の専門家や技術者の皆様にも十分に役立つものだと思います。マニアックな出版社であることもあって、書店にはなかなか置いていないかもしれませんので、ご興味があれば、クリックしてみてください。
実践編ですが、今日の日経の1面下段書籍広告にありましたね。
早速evernoteでメモりました。
そういえば、国際会計基準の話がぼちぼちでてきていますが。。。
そうですか。日経でも広告打っていましたか。
国際会計基準は業界上げて「ポスト内部統制」のビジネスの種として盛り上げているようですが、私は、内部統制同様、どうもこれで商売する気にはなりません。「制度改正はキャッチアップする必要はあるが、自分がめざすべき本質的なスキルではない」と認識しております。
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