Entry: main  << >>
今年の研究開発活動


 最近、社内や顧客との調整業務や、コミュニケーション業務、さらには人の作ったもののチェックに時間を費消されることが多くなり、「自ら考え抜いて何かを生み出す」という時間が減っています。組織の中間管理職としてずっと生きていくということであれば、インフラに乗っかって、調整能力とコミュニケーション力だけ磨いていればなんとかなるのかもしれません。ただ、ここのところ、組織内アレンジャー業務に没頭させることで、「個の職人としての能力」に磨きをかける時間を意図的に削られているような気もしており、なんだか組織に完全に依存しないと生きていけないように飼いならされているようで、日々危機感を感じております。

 そういったこともあって、年に数回は、新たなテーマのセミナー講師や原稿書きを引き受けたりして、「考え抜く時間を意識的に増やす」ということを心がけています。この手の仕事は、組織内で定められているチャージレートからすると明らかに不採算な仕事だったりするので、組織に迷惑がかかることがないよう、組織内の肩書は使わず、届け出を行った上で、休日や有給休暇を活用しながら準備を行い、実施するようにしています。
 講師業務や執筆活動は「組織レバレッジが利かないし、不採算なのでやりたくない」という同僚も多いですが、私は「外から声がかかるうちが花だ」と思いながら、「自分自身の研究開発活動」と割り切って、本業に支障が出ない範囲でお引き受けするようにしています。

 最近多いお問い合わせは、圧倒的に国際会計基準(以下IFRSとします)がらみのセミナー講師業務(特に現行の日本基準との相違点に関する勉強会ですとか、実務上どのようにAdoptしていくかというスケジューリングがらみのもの)ですが、この辺りは、私が所属する組織でも「内部統制の次の稼ぎ頭」として力を入れている分野で、個人の一会計士が簡単に仕事を引き受けると、組織内からも刺されかねませんので(笑)、組織内の専門部署を紹介するようにしています。

 米国会計基準(以下USGAAP)に関しては、私もこれまで監査業務で何社が遭遇したことがあるのでそれなりに勉強したことがありますが(これもその分野のプロの先輩からすると、「そんなの知っているとは言えない!」と刺されそうですが)、IFRS自体は、私も実務で触ったことがありませんので、現在、時間を見つけては、関連書籍等を読んで勉強している最中であります(とはいっても、会計基準を頭から読むのはつらいので、もっぱらダイジェスト本や、欧州のIFRS開示会社の注記なぞを読みあさる感じです。)

 IFRSに関しては、また機会にその所感を詳述したいとは思いますが、私は、内部統制の時もそうであったように、基本的に「制度モノに早くキャッチアップして稼ぐ」という「典型的会計士モデル」があまり好きではありません。最新制度の動向は、専門家としてある程度はケアしていなくてはならないとは思うのですが、「その変更が当社の経営に、キャッシュ・フロー創出力にどうインパクトがあるの?」というクライアントからの問いに即答できないのであれば、制度を逐条解説できたとしてもあまり意味がないと思っています。(別に制度を軽視しているわけではなく、自分が会計監査業務から離れたことで、昔と今のクライアントさんのニーズが明らかに異なることが、このように思うようになった最大の理由であるような気もしています。)

 そんなこともあって、今年の日経ビジネススクールの研修テーマは、「内部統制」にも、「IFRS」にも背を向けて、あえて「利益の質」と致しました。ここで言う「利益の質」とは、単に「キャッシュ・フローの裏付けがあるか否か」といった粉飾チックな視点だけではなく、「その利益に再現性はあるか否か」といった経営的な視点を含んでいます。徹底的に「投資家目線」、「企業審査担当者目線」に立ちながら、いくつかの事例企業の「利益の質」について、私なりに考えてみたいと思っています。

 このようなマニアックなテーマの研修は、この不況の最中では、日経ブランドをもってしても集客できるかどうかはかなり不安なのですが(笑)、通常の決算書分析セミナーでは、同じく日経ビジネススクールで講座を持つ「美人すぎる会計士」さんに集客力で勝てそうもない以上、このテーマでM&Aの現場の第一線の知を受講者の皆様にお届けしたいと思っています。

 ご興味のある方は、日経ビジネススクールのサイトから、お申込み下さいませ。受講者の方々には、「参加して損をした」と思わせることがないよう、開催は既に今月ですが、これから毎晩自分を追い込み、必死に考え抜いて原稿を完成させたいと思っています(笑)。

| cpainvestor | 00:37 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
前もお酒の席で話しましたよね、利益の再現可能性のはなし。
日経のサイトでシラバスを拝見しましたがちゃんとここまで考えを詰められたんですねー。刺激になります。。。

ちなみに私は自社内の研修を担当しているんですけど、まったくもって思考錯誤。何かは足りないんだけどそのコンテンツがまだ全部はわかんないのでもどかしいですが、自分を追い込んできちんと仕上げたいと思います。

IFRSに関しても同意。IFRSはキャッシュフローには影響はないですからね。EBITDAに聞いてくるものと、こっちの世界ではやはりのれんの扱いが変わるところは大きいけど、今回は細かいことはフォローしません(ていうか、監査はなれちゃうとできませんね、笑)。
Posted by: lat37n |at: 2009/08/04 12:30 AM
lat37n様

「利益の質」というマニアックな内容に同業者として反応して頂き、ありがとうございます。

 IFRSをからめた方が集客できると日経担当者からアドバイスを受けても、「こちらの方がずっと知識として使える普遍的な内容です!」と押し切ってしまったのが実態であります。ヒト、集まらなかったらどうしましょう(汗)。

 私もLAT37Nさんが、いつか「USGAAPマニア向け研修」だとか、「会計のコンセプトが自然とわかってしまうラブコメストーリー」みたいなのを書かれる日を楽しみにしております。
Posted by: cpainvestor |at: 2009/08/04 7:31 PM








Trackback

Calendar

  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>

Profile

来訪者数(11/18/07より)

クリックで救える命がある。

経済・投資情報


Shops

Oisix(おいしっくす)/Okasix(おかしっくす)

過去の人気エントリー

Search

Entry

Comment

Trackback

Archives

Category

Link

Feed

Others

Mobile

qrcode