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魚網は維持しても、ニシンは戻らないかもしれない


 上場企業の4-6月期の業績が前四半期に比べ持ち直したことで、株価は最近、小康状態を保っているようです。また、なりふり構わぬ公的資金の注入で、半導体や液晶などの設備型産業も今のところ存続できています。最近、このような世界市場に汎用製品・サービスを提供する設備投資型企業を私の中では「ニシン漁モデル」と命名することにしました。

 江戸末期から、明治、大正期にかけて、日本海に面する北海道沿岸には、春先になると、ニシンの大群が押し寄せました。これを沿岸に仕掛けた大規模な網で一網打尽にすることで、漁民には多額の富がもたらされ、特に沿岸の漁業権を持つ網元の中から、多くの成金が生まれ、ニシン御殿が建ち並びました。
 ところが、昭和に入ってしばらくすると、ニシンの群来は、ぱったりと止みます。「ただただ、ニシンを待ち続けて網を拡張し、維持し続けるだけの漁法」では、まったく打つ手がなく、網元達は次々に倒れていくことになりました。

 「激しい製品価格下落の嵐の中で、設備投資競争という消耗戦に巻き込まれ、その中でもがいているうちに需要急減にあって万事休す、ただ、公的資金で設備を減損し、なんとか食いつないで次の製品需要回復を待ち続ける・・・」そんなシナリオの企業群を見るにつけ、個人的には「ニシンはアラスカやサハリンで先取りされてしまって、北海道沿岸で待っていても、もうたいした漁はできないかもしれないのではないか」と考えてしまいます。「ニシン漁モデル企業」は、これからも一時的なニシン群来のタイミングで、多少の鞘取りはできるかもしれませんが、少なくとも長期投資には向かない銘柄でしょう。

 なまじ規模が巨大化してしまったために、今さら高級魚の養殖業への全面転換などはできないのでしょうし、放流する稚魚や稚貝も用意していません。サケ・マス(太陽電池?)あたりを採るにしても、ライバルはめちゃくちゃ多そうで、サケ・マス漁もすぐに「ニシン漁モデル」になりかねません。こういう会社を見れば見るほど、既存の魚網維持のための公的資金は、激変緩和のための延命措置にしかならないような気がします。

 番屋でニシン漁の出番を漁民としてワークシェアリングをしながら何年も待ち続けることも、個々人としては、かなりリスクが高い行為であるといえそうです。まずは、これまで蓄えてきた財産だけでも、養殖業の方に避難させ、必要に応じて新しい職場探しのためのトレーニングを始めた方が良いかもしれません。

 私の今の本業も、いつ採れるか分からないカジキマグロを求めて特定の漁場を周回するトロール船のようなものです。まずなけなしの財産だけは、国内外の養殖業に避難させた上で、勝てそうな漁場を絞り込んで知り尽くし、そこであれば、別の種類の魚も釣れるようにしておきたいところです。ニシン漁の船や、トロール船に乗ってしまっているという自覚のある皆様、一緒にがんばりましょう(笑)。

 
追伸
 日経セミナーにお越しいただいたこのブログ読者の皆様、誠にありがとうございました。「ビジネススクールを名乗る以上、採算は厳しくてもこのレベルのセミナーをやらなくてはならない」と考えてくれた主催者の熱意と、多数のブログ読者の皆様の参加のおかげで、「利益の質分析」というマニアックな内容のセミナーを無事開催し、終了することができました。セミナーが参加された皆様の企業分析スキル、投資スキルの向上に少しでもお役に立てる内容であったとすれば、幸いでございます。今後ともどうぞよろしくお願い致します。

 

| cpainvestor | 01:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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