選挙も終わり、新政権の経済政策が注目される今日この頃ではありますが、いくつかの国策企業について、公的資金での支援をすべきか否か大きな注目が集まっています。
特に日本航空(以下JALとする)については、過去にも何度か経営危機が噂され、つい先頃には、政府保証の投融資という形で政策投資銀行から巨額の「政策資金」が注入されました。
JALの経営状況に関しては、「サービスがいまいちなのに従業員の給料が高い!」ですとか、「OBの年金が優遇され過ぎている!」ですとか、「綱渡りの資金繰り」ですとか断片的なマスコミ報道が沢山なされていますが、今回から何回かに渡り、有価証券報告書と決算説明会資料という対象企業が開示している一次情報を用いて、私なりにJALの窮境原因について考えてみたいと思います(どこぞの企業向けセミナーのケーススタディとして使用予定です)。
まずは、05/3〜09/3期の有価証券報告書等から抜粋加工した過去5年間のハイライト情報を見てみましょう。
過去5年間の業績ハイライト情報からだけでも以下のようなことが指摘できます。
事業効率性
総資産経常利益率(ROA)は、最も改善の進んだ08年3月期でも3.3%と事業効率性は極めて低い。簿外となっている航空機等のリース資産を加味すると、この数値は更に悪化する(2.8%)。リース資産を加味した総資産回転率(売上高/修正総資産)は100%を割り続けている(年間で総資産1回転分の売上も計上できない)など、設備産業特有の資産活用効率の低さは顕著である。
収益性
売上高経常利益率は最も好業績だった05/3期でも、3.3%と極めて低い(損益分岐点は相当高いものと推測される)。09/3期を除くと、それ以前の過去4年間の売上高の変動率はそれほど大きくないように見えるが、そのうち2回も最終赤字に転落している。これは、コストコントロール能力の低い脆弱な収益基盤の会社であることを物語っているように見える。
また、07/3期以降は、経常損益と当期純損益の乖離が大きいことから、リストラ等による多額の特別損失が計上されていることが想起される。
財務安全性
当期純損益と純資産の推移から見て、07/3期、08/3期には、業績悪化に伴う資金不足を回避すべく、大規模な増資をしていることが推測される。この増資資金と資産リストラによる資産売却収入、本業のテコ入れによる営業CFなどを元手に、JALは過去5年間、地道に有利子負債の削減に取り組んできた。
しかし、09/3期の大幅な業績悪化で、手許資金(現金及び現金同等物)は激減し(08/3期:354,073百万円→09/3期161,751百万円)、直近四半期の営業CFの大幅赤字(△59,550百万円)で資金状態は更に逼迫しており、追加の資金調達をしなければ、事業の資金繰りがつかないところまで追い込まれているものと推測される。
また、リース債務のみならず、簿外となっている退職給付の未認識債務金額もずっと高水準(2,655億〜3,315億円)にあり、これらの簿外債務を加味すると、09/3期末は既に実質的に債務超過の状況にあるといえ、政府の支援なしには、資金調達ができない状況に追い込まれているものと推測される。
その他
JASとの経営統合後、余剰人員の削減に取り組んではいるものの、5年で約10% の減少となっており、思ったほど人員削減は進んでいない印象を受ける。
以上、ハイライトページからだけでも、現状の経営状況の苦しさはそれなりに理解できるような気がします。
なお、航空会社というと、必ず槍玉に上がる高額人件費の問題ですが、参考までに、日本航空インターナショナル(持株会社である日本航空傘下の運航運送事業会社)の09/3期有報に記載されていた職種別従業員の従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与を以下に記載します。
地上社員 (6,392人)44.3歳 20年 6,784千円
運行乗務員(3,049人)43.7歳 19年 18,344千円
客室乗務員(5,948人)36.1歳 13年 5,887千円
パイロットの人件費は確かにかなり高めではありますが、日本国内におけるその特殊技能の希少性、業務負荷なども考えるとこれだけでは何とも言えないような気がします。むしろ、私としては、従業員の平均年齢の高さの方が気になります。キャビンアテンダントというと多数の若いお姉さんというイメージを未だに持っていましたが、かなり勤続年数の長い方がいらっしゃる感じですね。
次回は、この会社を事業別にもう少し見ていくことにします。ご興味のある方はぜひ、ブックマークをお願いいたします。(つづく)
唯一の傾向は借金が減ってるくらいでしょうか。
あとは数字がコロコロ変わってせわしないと言うか何と言うか。増資を繰り返したせいでしょうか。
このご時世であることを差し引いてもメチャクチャですね。
従業員が増えているのも良く分かりませんし、前期は営業赤字のようですので、投資判断としては一発でアウトですね。
経営判断としても、4年で5000億は返済のしすぎのような気がしますが。。もうちょっとゆっくり返す事は出来なかったんでしょうかね。
サーチャージは燃油コストを多少は吸収できるんでしょうけど、景気悪化に対しては焼け石に水といったところでしょうか。航空産業も輸送・旅行・ビジネスなど全ての売上が国内外の景気動向をモロに受ける、景気敏感株といった所なんでしょうかね。
借金の返済と収益の改善とどちらを優先すべきか・・・ナショナルフラッグシップだけに、まるで日本国の生き写しのような会社に見えるのは気のせいでしょうか(苦笑)
誰が株を持っているのかと調べたところ、生保が名を連ねていました。何でJALで運用しているんでしょう。。これも良く分かりません。。。
分析の続き楽しみにしてます。
いつもご訪問ありがとうございます。JALの分析、お楽しみいただけたでしょうか。
いつも有意義なコメントに感謝しています。




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