Entry: main  << >>
JALの窮境原因について考える(その3)


 今回からは、いよいよ本丸の航空運送事業の損益構造について見ていきます。ここからは、JALの特徴をより明確にするため、ベンチマークとして全日空(以下ANAとする)の指標も採用することにします。
 下表は、決算説明資料より作成した、JALとANAの航空運送事業の損益推移です(両社の財務数値の比較可能性を高めるために、以下の表では一定の前提を置いて筆者が科目組替等を行っています。)
JAL VS ANA 航空運送事業

収益分析:直近期の減収に関しては両社痛み分け
 下図を見て分かるように、JALは国際線収益が全社売上の4割を占めるのに対して、ANAは2割強に留まっています(09/3期)。また、上表から分かるように、JAL、ANAいずれも、国内線よりも国際線収益のボラティリティが大きいようです。(標準偏差/平均売上の指標を参照、ただし、ANAの指標は、近年の国際線拡大戦略が反映されているため、割り引いて見る必要があります。)このため、国際線収益の比率が大きいJALはANAに比べて、安定した利益を確保することがより難しいマーケットに直面していることは確かなようです。
両社収益構成推移

 ただし、09/3期の減収に関しては、対前期比でJALが94.0%、ANA94.5%と、ほぼ「両社痛み分け」という構図になっています。JALは国際線と貨物の、ANAは国内線の落ち込みが激しくなっています。09/3期は日本国内に留まらず、世界の航空会社が需要急減に見舞われ、業績が低下していることからして(例えば、American AirlinesBritish AirwaysCathay Pacific Airways)、市況産業という特性上、ある程度やむを得ない減収であったと言えるかもしれません。

費用分析:不振の原因は、燃油費と間接費にあり
 
下図の売上高費用率を見ると、両社のコスト構造の違いが見えてきます。JALはANAに比べ、燃油費(JAL:28.6%,ANA:24.8%)及び間接部門コストの配賦額(JAL:27.7%,ANA:21.3%)の比率が大きいようです。意外ではありますが、売上高人件費比率は、JAL(16.2%)はANA(18.9%)に比べ小さく、部門営業費用全体に対する比率で見てもJALが15.6%に対してANAは19.0%ですから、JALの現業部門の人件費の抑制傾向は、ANAに比べると、かなり徹底されていそうです。なお、航空機償却・リース料はANAに比べてJALの負担率は小さく、航空機更新投資ができる限り抑制されていることが想定され、こちらも安全面からは気になるところではあります。
両社売上高費用率

 以上の分析を総括すると、JALはANAと同じような比率の減収に直面しながらも、燃油費と部門外の間接費用の負担が、その収益規模に比べて重い分、09/3期は再び赤字転落してしまったということが言えそうです。このうち、部門外から配賦されてくる間接費用に関しては、例えば本社管理部門の人件費なり、OBの退職給付費用なり、システム費用なりが入るのかもしれませんが、配賦額の詳細が見えない分、これ以上分析することは困難です。ただし、燃油費に関しては、なぜ、これほどの差が両社で開くのか、もう少し分析してみる余地がありそうです。(つづく

 

| cpainvestor | 19:52 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment








Trackback

Calendar

   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< March 2017 >>

Profile

来訪者数(11/18/07より)

クリックで救える命がある。

経済・投資情報


Shops

Oisix(おいしっくす)/Okasix(おかしっくす)

過去の人気エントリー

Search

Entry

Comment

Trackback

Archives

Category

Link

Feed

Others

Mobile

qrcode