出張で長距離移動時間がありましたので、経済本を2冊ほど、読みました。
1冊目は、松谷明彦著「2020年の日本人」(上左図)です。
官僚出身の学者様らしく、マクロ経済データの丹念な分析から、2020年の日本経済の姿を予測しています。この著書の中にある多くのデータ分析図表を見て改めて痛感したのは、「日本の少子化のツケは莫大である」ということです。

著書に記載のあった上図を見ると、日本の20歳以上の人口に占める生産年齢人口(20-64歳)の比率は、1970年代初頭(90%程度)から下がりはじめ、2050年には、50%近くまで一貫して下がり続けます。イギリスやフランスが2040年代には、70%弱で下げ止まるのと対照的です。現在の日本の人口構成から推測するに、移民の受入でもない限り、将来このような人口構成になることは、ほぼ間違いないのでしょう。だとすると、現行の世代間所得分配方式の年金制度がこのまま維持できないことは明白です。だからこそ、年金財源問題を討議する際に、いつも税方式、特に消費税による基礎年金財源の徴収ということが俎上にあがるわけですが、昨今の国家財政の大盤振る舞いを見ると、その実現可能性は、微妙です。「我々の世代の年金など全くあてにならない」というのは、今のところ真実でしょう。
新聞報道などで今年の税収見込と各省の概算要求額合計の差などを見ると、そもそも財政赤字を歳出削減や増税によって縮小させることなど、誰も考えていないかのようです。財政の赤字はできる限り先送り、いよいよ国債が国内貯蓄で消化できなくなったら、最後は「通貨を刷りまくって国債購入、インフレでチャラ」か「超高率の相続財産課税でチャラ」という出口ぐらいしか素人の私には思いつきません。個人の生活防衛手段としては、以前にも書きましたが、「日本円だけで財産を持つのは極力避ける」ということぐらいしかないのかもしれません。
もう1冊は、池田信夫著「希望を捨てる勇気」(上右図)です。
こちらは、アルファブロガーの著者がブログで記述している「日本経済論」が、きちんと整理されて1冊の書籍にまとめられています。池田信夫ブログの読者にとっては、目新しい内容がそれほど多くないことは残念ではあります。ただ、著者の意見の「70〜80%は私も同意」というのが、読後の率直な感想です。
特に、派遣や請負などの非正規雇用制度の廃止や正社員労働者の過剰なまでの解雇規制が、かえって失業率を悪化させ、産業の空洞化を招いているという著者の主張は、そのとおりだと思いますし、実際に私が現場で仕事をしている中でも、それを裏付けるような事例にいくつも出くわしています。池田信夫ブログを特に通読されていないという皆さんで、マスコミ報道とは一味違った「日本経済論」を歯に衣着せぬ文章で読みたいという方にオススメの1冊かと思います。
この手の本を2冊も一気に読むと、さすがに気分が少し滅入りました。そんな私と同じような感覚に陥った皆様には、新幹線の中で私が聴いていた村治佳織さんのニューアルバムをどうぞ。 なかなか良いです。




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