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最近読んだビジネス書2冊


 景気回復の影響が出始めているのか、私も年末から本業の方が非常に忙しくなってきました。今月は妻の出産があった日以外は、ここまで、ほとんど仕事ばかりの毎日です。(危うく父親失格の烙印を押されるところでした。今週末こそ子供達の遊び相手を十分に果たすつもりです。)
 プロジェクトの切り盛りや、セミナー講師などでアウトプットばかりしていると、「インプット枯渇の恐怖感」が頭をもたげてきます。今月は出張がいくつかあったおかげで、まとまった移動時間があり、何冊か新しい書籍に目を通すことができました。その中からオススメを2冊ほど紹介しておきます。

               

湯之上隆著「日本半導体敗戦」(上左)
 日立製作所の元半導体エンジニアで現在は大学の研究者として教鞭をとっておられる湯之上氏の著書です。さすがに業界内でエンジニアとしてキャリアを築いてきただけあって、そんじょそこらの経営学者が書いた薄っぺらな事例研究書籍より断然詳しく、日本の半導体産業が、台湾・韓国メーカーに敗れた要因について詳述されています。品質要求の極めて厳しい主要顧客(日系の完成品メーカー)の要望をとことん聞いているうちに、ほとんどの半導体量産設備が特注となり、その結果生じる割高な開発費、設備費負担が、日本の半導体メーカーの国際市場でのコスト競争力を殺ぐことにつながり、あっという間にシェアを失うこととなりました。まさに、半導体産業において、「イノベーションのジレンマ」が生じてしまった状況です。
老舗メーカーにおいて大事にされている「品質こそが競争力の源泉」という価値観は、時に、最終ユーザーから見れば「コスト高な過剰品質」となる危険性を秘めています。なかなか読み応えのある非常に面白い記述で、特に技術開発などをなさっているエンジニアの方にオススメしたい書籍です。

エリヤフ・ゴールドラット著「ザ・クリスタル・ボール」(上右)
 ご存知「ザ・ゴール」のゴールドラット博士の最新作です。今回は小売業におけるサプライチェーンマネジメントに関する基本的な考え方が紹介されています。相変わらず小説形式を利用したうまい手法でどんどん引き込まれ、主人公と共にサプライチェーンマネジメントの基本について学んでいくことができます。この書籍を読むと、なぜセブンイレブンはトラックが一日に何度も巡回配送するのか、また同一エリアに集中出店するのか、その理由もわかるようになります。小ロット、高頻度出荷を可能ならしめる倉庫の中のレイアウトの工夫など、私も知らない話が沢山出てきて非常に勉強にもなりました。ゴールドラット博士の一連の著作は、どれもハズレがなく、読む価値ありだと思います。(日本人の書いたTOC理論のパクリ本は、ほとんど意味がない気がしますが・・・)
 この書籍のような小説形式のビジネス書は、著者の筆力がいりますが、経営理論のコンセプトを理解するのに非常に便利です。今後この手のビジネス書が増えてくるのではないかと思います。



追伸
 JALはとうとう会社更生法申請によるリスタートと相成りました。「利害関係の調整が難しいのでは・・・」という昨秋の読みが当たってしまいましたね。京セラ稲盛会長が推奨する「アメーバ経営」のような採算管理意識が倒産後のJALに根付くかどうか・・・見物ではあります。

 昨年の私の分析をお読みになられてない読者はこちらからどうぞ。国際線全面撤退案がなぜ出てくるかがわかると思います。

| cpainvestor | 01:57 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
復活&第三氏ご誕生おめでとうございます!今年もよろしくお願い申し上げます。

身内が今米国の大学院のMBAを取得中なのですが、オペレーションの授業がThe Goalを題材にしていていろいろ質問されたので、実家から日本語版のThe Goalと続編を引っ張り出して来て読んだのですが、素晴らしいできですよね。古典的原価計算全面否定に10年前は違和感を覚えたんですが、今の方がすんなり頭に入りなおした感じです。
ザ・クリスタル・ボールも読もうと思ってたので早速入手しようと思います。
Posted by: lat37n |at: 2010/01/29 3:55 AM
lat37n様

こちらこそ、今年もよろしくお願い致します。

スループットを改善するTOC理論は、最近多くの製造業で取り入れられているようですね。最近訪問した工場でも小集団活動の掲示板に記載があるのを見かけました。

私はむしろ、この理論をプロジェクトマネジメントや思考プロセスに応用した「クリティカルチェーン」や「チェンジザルール」といった著書の方が実務上、役立っているような気がしています。

Posted by: cpainvestor |at: 2010/02/05 1:22 AM








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