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スノー・ボール  ウォーレン・バフェット伝

                    

 私も「バリュー投資家」のハシクレとして、バフェットの伝記は読まねばならないということで、分厚いハードカバーの本を約3週間も持ち歩き続け、本日ようやく読破しました。以下、バフェットの人生について、記憶に残っている内容を中心に書き留めておきます。

<幼少〜青年期>
・父は下院議員、ネブラスカ州オマハでは知名度の高い比較的裕福な一家に生まれている。
・幼少期からビジネスやお金に関して並々ならぬ興味を持ち、学生時代から様々なビジネスを手がける才があり、株式投資も少年期から始めている。
・ 数字や確率に関する記憶力・洞察力はずば抜けており、成績も優秀。ただ、その「頭の良さ」から来る自信過剰もあってか、コミュニケーションはやや苦手で、リーダータイプでもない。
・ガールフレンドとのデートでもできる限り費用を節約するなど、筋金入りの「ケチ」であったことは間違いない。

<青年〜壮年期>
・ハーバード大のビジネススクールの入試面接に失敗して入学したコロンビア大のビジネススクールで投資家ベン・グレアムの教えを受けたことが大投資家への飛躍の最初のきっかけとなる。
・卒業後、しばらくたってグレアム・ニューマンの社員として雇われるチャンスを得て、ここでの丁稚奉公でグレアムの投資手法を徹底的に学んだのが第二のきっかけとなる。
・ グレアム・ニューマンの解散に伴い、オマハに帰って親しい仲間うちの資金だけを元手にバフェット・パートナーシップを始めたのが第三のきっかけとなる。
・バフェットの仕事は「投資」、趣味は「経済誌や企業の年次報告書を読むこと」であり、食事や服装などの生活全般は無頓着。億万長者になってからも、老齢期になるまでは、寄付や贅沢をすることを極端に嫌う。
・身の回りの世話に始まり、社会とのつながりやコミュニケーションは、全て妻となったスージーの内助の功の影響が大きい。この人がいなければ、バフェットは今のような社会に影響を与える人間味あふれる投資家には間違いなくなっていない。後年、この妻にも愛想をつかされる場面があるのは何とも皮肉。
・3人の子供がいるが、その幼少期の教育には無関心でほぼ妻任せ。子供達は、音楽家や農場主など、それなりの仕事をしてはいるが、どちらかと言えば、「お金を稼ぐ、もしくは事業を経営する」側ではなく、「専らお金を使う」側の人間として育っている印象を受ける。まあ、毎年10億円の贈与を受けていれば、あくせく働く必要はないわけですが。

<壮年〜老齢期>
・ コミュニケーション下手は、妻であるスージーや、ワシントンポストの社主キャサリン・グラハムとの交流を通じて徐々に改善されている。
・ 運用資産残高が増え、経済社会への影響力が増えるにつれ、「後ろ指を刺されない社会での立ち居振る舞い方」を、いくつも苦い経験をする中で、体得してきている。

 バフェット本人がまだ健在である状況で書かれた伝記であるため、かなり美化されている部分はあるでしょう。ただ、この伝記を読むと、彼は決して「神格化するべき人」ではなく、私達と同様、「欠けの多い生身の人」であることを実感できるように思います。それにしても、私は、バフェットのような「ドケチ」を生涯貫けないでしょうし、「子供との幼少期の家族生活はほぼ無視」というのもしたくはありません。ここまで一つのことに没頭し、突き詰めることができる人はそうそういないことだけは間違いないでしょう。


 続いて、肝心の投資スタイルについては、伝記の中からは断片的なことしかわかりませんでしたが、少しだけ気がついたことを書いておきます。

<投資スタイル>
・若い頃は、「シケモク投資」と称して、純資産価値割れのキャッシュリッチボロ会社の株を買占めた後、押しの一手で巨額の配当を出させるなり、自社株買いをさせるなど、経営陣からかなり反感を買いそうな手荒な投資をいくつも行っている。
・運用資産が大きくなり、上記のような手法が採用しづらくなってきたところで、「すばらしく良い事業資質を有する会社を高くない値段で買う」投資手法が得意なチャーリー・マンガーと組むようになった。彼の影響で、それまでの「シケモク投資」は、いわゆる「収益バリュー投資」へとそのスタイルが徐々に変わっていく。
・毎月継続収入があるガイコをはじめとした保険会社を買収することで、新規投資資金収入を継続的に確保する仕組みを構築。この資金を元手に株価の低迷時にせっせと株式への投資を積み増ししている。
・2008年の金融危機以前にも、LTCMの破綻時、ブラックマンデーなど、危機の際には、着実に「買い」に動いている。結局のところ、高レバレッジ経営でにっちもさっちもいかなくなった金融機関やファンドを尻目に、ギリギリまで温存していた現金を最大限に活用して、強気の「指値買い」を実践できていることが、これまでの最大の勝因であると推測される。

 バフェットの生きた時代が、米国経済の最大の発展期に当たり、彼の長期投資による運用成績は、そのサポートを受けてきたことは間違いないでしょう。ただ、元本の1/3程度の資産が一気に吹っ飛ぶような苦しい状況も乗り切って資産を増やし続けてきたことには、やはり「単なる統計上の外れ値」とは言えない「何か」があるようには感じました。

 伝記そのものが若干長すぎるきらいもありますが、「バリュー投資家」を目指す皆様であれば、バフェットの投資スタイルのみならず、彼の人生の歩みについても知っておいて損はないように思います。特に下巻は、ここ30年の米国の金融経済史と重なる部分が多いですので、その時点時点で、関係者がどのような決断を下してきたのか、その舞台の裏側を知るだけでも勉強になります。一応、「投資家向け」ということで推薦しておくことにします。
| cpainvestor | 01:23 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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