職業柄、地方都市への出張は多いのですが、最近は、お客様の経費削減に協力するため、宿泊は割安なビジネスホテルを利用することも多くなりました。以前は、「安眠できてお風呂も大きく、朝食も豪華なホテル」を選びたいというこだわりもありましたが、今はよほどの長期出張で宿泊が続くことがない限り、「熟睡できる」という条件さえ満たされれば、それ以外はあまり気にならなくなりました。
今週、ある地方都市に宿泊しましたが、駅から徒歩7〜8分、インターネット回線や液晶テレビ完備、お風呂も大きく相当豪華な朝食ビュッフェがついて、一泊5,000円でした(オムレツなどをその場で焼いてくれる人がいる形式です)。この地方都市の場合、少し設備が古くても良ければ、駅から徒歩5分、簡素な朝食つきで一泊3,000円から宿泊できるところもいくつかあります。何年か前に駅前の商業施設等が撤退して、その跡地に東横イン、ルートインなどの格安ビジネスホテルチェーンが立て続けにできました。その結果、この地域の客室数は明らかに供給過剰となり、激烈な価格競争が勃発、現在の中心価格帯は4,000円台前半だと思われます。
このようなビジネスホテルの価格破壊は、現在多くの地方都市で起こっているのではないでしょうか。徹底したローコストオペレーションが確立している東横インが進出すると、その地域の宿泊単価が10%以上下がるというのを以前どこかで聞いた記憶があります。
「駅前の土地有効活用を!」という金融機関や不動産会社のセールストークに乗って、家業の小売店などに見切りをつけた一族がビジネスホテルを経営しているというのはよくあることだと思います。建てた後、数年は見込みどおりに集客できていたとしても、10年も経って設備がやや老朽化したところで、もっと駅近に競合ホテルができたりすると、この手の家業系ビジネスホテルはひとたまりもありません。もともと、宿泊と朝食という非常にシンプルなサービスに特化しているビジネスモデルですから、差別化の源泉となる付加価値のつけどころが極めて限られます。その結果、設備稼働率維持目的の値下げに走ることになります。インターネットの宿泊予約サイトの発達で、同一エリアのホテルの宿泊単価と条件はほとんど一覧できてしまいますから、供給過剰が続く限り、極限までサービス、価格競争がなされることになります。
このような状況は、ビジネスホテル利用者としては歓迎すべきことではありますが、経営者や投資家にとっては、まさに「砂漠の消耗戦」を地で行くような苦しみが強いられることになります。「いくら株主優待に魅力があって立地に優位性があると思っても、資金回収に長期間を要する国内系施設稼動型ビジネスに、長期投資をしてはいけない。」
古ぼけて看板の明かりも消えかかっているようなビジネスホテル群を見ながら、そんなことを改めて思いました。
追伸
このように考えていくと、自宅の購入も、投資家の視点を失いたくはないのですが、冷蔵庫や洗濯機と同じ「耐久消費財の購入」だと思わないと、なかなか決断ができないのかもしれません。




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