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不正会計のツケはやはりBSにたまる


 IPOConsultantさんのブログに紹介があったので、私もシニアコミュニケーションズの不正会計に関する外部調査報告書を読んでみました。
 会計上の利益を確保するためにあの手この手を使って売上をかさ上げし、会計監査人を欺くために、上場で得たキャピタルゲインや持株を担保にした借入金をつぎ込んで債権の回収入金を装い、更には残高確認状の不一致を防ぐために、確認状を投函したポストで郵便局員が回収に来るのを待ち伏せして会社自らが確認状を回収、改ざんするなど、「本当によくぞここまでやりました!」という内容です。皆さんもぜひご一読をお勧めします。
  以下は、この会社の過去5年の業績推移です。
シニアコミュニケーションズハイライト情報

 「決算書を見るだけで、お行儀が悪いと思うところがかなりあるんだけど、不正会計の完全な証拠となるしっぽがつかめない」、会計監査人はそんな気持ちで監査していたのかもしれません。ちらっと数字を見るだけでも、気になる点はたくさんあります。

FCFは一度も黒字化していない。

 直近期を除いて営業CFは赤字ですし、投資CFのマイナスは毎年高水準です。特に直近2期の投資CFの中身の多くはソフトウェア取得支出です。のれんであれ、ソフトウェアであれ、無形固定資産の残高が年々増加していくのを見ると、職業柄、気分が悪くなります。

売上債権の回転期間が尋常でないほど長い。

 直近2期の債権の回転期間は、9.6か月、11.3か月と、通常のサービス業ではありえない長さです。上場前後の第三者割当増資で資金調達ができていなければ、早々に資金繰りに行き詰って破たんしていたでしょう。

2餬彿針
 この規模の会社で、IPO後の07/3期まで進行基準で積極的に売上をあげているなど、認められている会計処理であるとはいえ、会計監査人は気に入らなかったでしょう。

 それにしても、経営陣は旧長銀出身者が占め、大株主には東京電力と三井物産、事業内容は富裕層シニア向けコンサルビジネスと、一見すると、ユニークでエスタブリッシュメントな会社に見えます。それが、こんな古典的な会計不正をずっと続けていたのかと思うと、なんだかやるせないですね。経営者が本気になって不正をしている場合、内部統制監査報告書がいかに無力かも改めてよくわかります。

 不正会計をして利益をねん出していくと、必ずBSがメタボになってきます。それは運転資本(特に売上債権や在庫)の増加であったり、貸付金、建設仮勘定、無形固定資産などの増加という形で現れたりします。潜在的な投資家としては、その気配に気づけたかどうかは極めて重要です。

 やはり、個人投資家の皆様としては、「PL上いかに成長著しい会社に見えたとしても、キャッシュ・フローに黒転の気配がない会社は、見送っておいた方が無難である」ということが改めて認識できたのではないでしょうか。

 世間的なプライドとか、経済的成功とか、そういったものが経営陣を泥沼の不正に駆り立てたのでしょうか。粉飾決算でIPOを行い、持ち株の売り出しを行ったのは罪深いですが、そこまでして何を得たかったのでしょうか。なんだか、さびしい虚無感におそわれます。

 こんな時は、ハゲタカのエンディングテーマでも聴きながら、その詩の意味をかみしめてみるのがよいのかもしれません。
 

| cpainvestor | 23:23 | comments(3) | trackbacks(1) | pookmark |
Comment
cpainvestorさん、ご無沙汰しております。
本件は、粉飾はいったんやってしまうと、元に戻れない(奈落の底までいくしかない)ということの典型例なのだと思います。
5年以上も監査人を欺き続けたというのはビックリですが・・・
Posted by: IPOConsultant |at: 2010/06/15 11:24 PM
IPOconsultant様

貴重な情報&コメントありがとうございます。

たしかに監査法人が5年も騙され続けていたのは本当だとすれば、かなり驚きではあります。

投資家目線でこの会社の決算書を見たら一瞬で、「投資する価値はないじゃん」と一蹴されてしまうような気がします。

そのあたりの事業をみる目が、実は会計監査人に不足していたのかもしれませんね。
Posted by: cpainvestor |at: 2010/06/22 1:21 AM
はじめまして、大変興味深い記事で面白く読ませていただきました。
シニアコミュニケーション粉飾の見抜き方がまとまっていたので、こういうところを着目するのかと気づけ、面白かったです。

同社は倒産して同社HPの調査報告書がなくなりましたが、他で調査報告書はまだ見れました。
http://ke.kabupro.jp/tsp/20100604/140120100604027490.pdf

ところで、同社は倒産しましたが、シニアコムという子会社で残っているようです。
同社は下のように責任追及するといってましたが、実際されたのか心配でなりません。
同社倒産で裁判も成立せず、粉飾した経営陣は逃げ切ったなんてことになってなければいいのですが。。。

http://ke.kabupro.jp/tsp/20100729/140120100729077952.pdf
当社は,株主の皆様,市場関係者の皆様をはじめ,多くのステークホルダーの皆様に大変なご迷惑とご心配をおかけしましたことについて、深くお詫び申し上げます。当社においては、今回発生した事態が当社および各ステークホルダーに与えた影響の大きさに鑑み、関与取締役に対し以下のとおり処置することといたしました。
取 締 役 山崎伸治 平成22年6月4日付 代表取締役及び取締役辞任
取 締 役 渡部正教 平成22年6月4日付 取締役辞任
取 締 役 馬谷尚利 平成22年6月4日付 取締役辞任
当社は,過年度決算の訂正を行なうことになった事態を極めて重く受け止めるとともに、深く反省し、社内全体のコーポレート・ガバナンスの強化、組織風土の改善策を講じ、ステークホルダーの皆様の信頼回復に全力で取り組む所存です。このように、株式市場の信頼を損ねたことについて深く反省し、今後このような事態を二度
と繰り返さないよう一層の社内体制の充実に努めてまいります。
また、追加で発生した監査費用、不法行為に基づく当社資金流出等に関する関与取締役の損害賠償責任を追及してまいります。
Posted by: NAKA |at: 2013/10/28 7:36 AM








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いろんなところで話題となっていたシニアコミュニケーション(2463)の外部調査委員会の調査報告書を、ようやく読みました。 これは、すさまじいですね。 外部調査委員会による調査報告書のご報告について 具体的な内容については、他のブロガーの皆様が詳しく書
■CFOのための最新情報■ | at: 2010/06/15 1:15 AM

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