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化粧品のビジネスについて考える
  
  自宅の風呂場に「白TSUBAKI」のシャンプーが置いてありました。毎日テレビでギャラの高そうな美女を大量動員してガンガンCMをしていますから、妻も影響されて購入したのかもしれません。

白TSUBAKI  有名美女てんこもりCMはこちらの動画の後に出てくるCM欄から

  TSUBAKIを市場に送り出した日本の最大手化粧品会社、資生堂の財務諸表を見て見ましょう。

  業績は拡大基調にあり、07年3月期は、売上高694,594M、売上総利益509,062M(粗利益率:73.2%)、営業利益44,308M(営業利益率6.3%)となっています。

  驚くべきは、粗利益率と営業利益率の差です。粗利益率が73%ということは、ものすごく単純に言うと、10,000円のファンデーションの製造コストは、2,680円に過ぎないということです。(当然製品によって、粗利益率は違うでしょうから、原価率がもっと低い製品も多々あるでしょう。化粧水とか・・・)

  2,680円の原価で作ったファンデーションを売るのに、この会社は、6,690円も販管費を使っています。この中身は、デパート1階の一等地の賃料、その店にいるやたら化粧栄えするお姉さま方のコスト、それから莫大な広告宣伝費や販促費、それにちょっぴりの研究開発費などでしょうか。「化粧品はイメージが大切」とは言え、ここまで、莫大な販管費を使わないと高く売れないのだろうか・・・疑問に感じてしまいます。

  少し気になったので、資生堂の07年3月期の営業人件費(お姉さま方の費用)、広告宣伝費(CMや媒体広告の費用です)と売出費(店頭での各種販促費用です)の合計額を注記から拾ってみました(括弧内は対売上高比率)。営業人件費122,696M(17,7%)、広告費50,314M(7,2%)、売出費118,264M(17.0%)でした。

  つまり、1万円のファンデーションを売るのに、1,770円の人件費を使い、720円の広告費を使い、1,180円のキャンペーン費用を使っているわけです。百歩譲って、営業人件費は許すとしても、そもそも、女性にとって、化粧品は、ある程度、必需品に近いぶるいに入る方も多くいらっしゃることでしょう。ギャラの高い有名美人タレントを多数使って、店頭で沢山キャンペーンをやらないと、この売上は維持できないのでしょうか。いくらなんでも、費用対効果の認識が甘く、商売の効率が低すぎる気がします。(投資したくないなあ・・・)

  世界三大化粧品・トイレタリーメーカーのP&G、ユニリーバ、ロレアルのPLの売上高原価率、営業利益率も見てみましょう。

P&G
ユニリーバ
ロレアル

粗利益率 (P&G:52.0%、ユニリーバ:49.7%、ロレアル71.1%)
営業利益率(P&G:20.2%、ユニリーバ:14.2%、ロレアル16.4%)
 
  上記データを見る限り、会計ルールの違いなどで、日本では販管費に区分される費用の一部が売上原価に入っている可能性はあるかもしれませんが上記3社の営業利益率と資生堂の営業利益率6.3%とは天と地ぐらい差があります。
 
  もちろん、上記3社は、化粧品とトイレタリー商品の販売比率の違い、企業規模が異なることによる「規模の経済」の影響度の違いはあるでしょうが、例えば、化粧品販売比率が大きい(小さい)こと、製品単位当たりの固定費低減効果を考慮に入れたとしても、資生堂は、販管費、とりわけ、「広告費、売出費の使い方がうまくないのではないか?」という気がしてなりません。「マーケティング部の思い入れ」や「役員の好み」だけでギャラの高いタレントを使っていたり、販売予測の精度が甘すぎて、大量に在庫が余ってしまってキャンペーン打ちまくって処分を急いでいるなんてことはないでしょうか。

  有名美人を沢山使う広告は、男性的には大歓迎ですが、化粧品の主要ユーザーである女性は、大変失礼な言い方かもしれませんが、全員があんなに美人なわけではないですよね。化粧品の効果を強調するならむしろ、ぱっとしない女性が、その化粧品を使うことでどれだけ変身するかを強調した方が、効果的なような気がするんですが、例えば、こういう実利的な映像を使ったCMではダメなのでしょうか。

  数少ない女性読者の皆さんのご意見をお待ちしております。
| cpainvestor | 00:12 | comments(13) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
こんばんは。最近愛読しています。
化粧品、衣料の広告は、やはり女性の夢を刺激しないと購入につながらないと思います。
こんな顔、こんなスタイルではないとわかっていても、どこかで顔がすりかわるのです。www
Posted by: くるみ |at: 2008/01/12 8:09 PM
いつも楽しく見ております。良い記事をどうもいつもありがとうございます。
youtubeの動画は笑ってしまいました。特に首を操作するあたりが・・・
化粧品メーカーは情緒的価値を前面に押し出し、それにより商品を売っている、要するに幻想を売る商売なのでしょう。
美容のためには、きちんとした食生活と生活習慣の方が大事なのでは?と思ってしまいます。

こういう記事を見ますと、自分が一体何に対してお金を払っているのか考える、良いきっかけになります。
Posted by: とめ |at: 2008/01/12 11:36 PM
くるみ様

ご愛読ありがとうございます。
皆様の支えが、私の継続意欲となっております。

やはり、化粧品は「夢」を刺激しないとダメですか。

そういえば、「夢を刺激しないと売れない」という言葉、昔、新築の分譲住宅を販売している営業マンにも聞いたことがあります。

住宅も化粧品も似たような商品なのかもしれません。

Posted by: cpainvestor |at: 2008/01/13 9:44 PM
とめ様

ご訪問、ありがとうございます。
「幻想」を壊す内容ですみません。

昔、化粧品を開発している某女性が、「私は化粧水は買わない」と言っていたのを思い出します。

彼女曰く、「薬局に行って、○薬品と○薬品と、スーパーに行って○と○を買ってきて、ある割合で混ぜれば、うちで作って売っているものとほぼ同じものが再現できるから、私はもったいなくて買えない。」とか言っていました。

すみません、また、幻想を壊すような話しを追加してしまいました。


Posted by: cpainvestor |at: 2008/01/13 9:51 PM
cpainvestor様

確かに、新築の分譲住宅なんかも夢を売る商売なんでしょうね。
そういえば、最近のCMで「新しい家になったら・・・パパもママもあまりケンカしなくなった」見たいなCMがあったような・・・
私は、基本的に機能的価値にしかお金は払わないので、幻想に対してお金を払う人の心理は良く分からないのですが、幻想を買って、消費満足を得ているなら、それも良いのではないかとも思います。財布からお金は出て行くというところが難点ですが。

化粧品を開発してる方が「もったいなくて買えない」と言っているということは、化粧品を買うことは、ほとんど寄付をしている事になるのでしょうか。

Posted by: とめ |at: 2008/01/14 12:49 AM
cpainvestorさんは合理的な投資家ですから、商品を買う時にもPBR的に見られるんだと思います。
世の中にはPBRの高い商品が溢れていますよね。

自分は広告を見て商品を買うことはほとんど無いので、広告で成り立っているテレビ局や広告代理店などの商売はイマイチよく理解できません・・・。
Posted by: ny |at: 2008/01/14 1:37 AM
販売管理費の高さはよく言われますね。海外メーカーとの原価の差はどこから有るのでしょうね。包装・梱包代(材料、加工、デザイン料)や、サンプル配布、お姉さまのお化粧直し代もあるでしょう。
デパートでバイトをしていた頃、美容部員の皆さんが日に何度もフルメイクを落としているのを見たことがあります。…逆に、ソレだけやって彼女達の肌がきれいなので、お化粧品も効果があるのかも、とも思いました。
調査費用も入っていると思います。今はかなり細かくデータを集めて分析しているはずです。

広告は、美しく無い人が変わってもいいのですが、15秒でアピールできる範囲は限られているように思います。
Posted by: rita |at: 2008/01/14 2:31 AM
rita様

コメントありがとうございます。
そうですか、美容部員さんは日に何度もメークしているのですか。それも広告宣伝コストに入っているのでしょうね。きっと。
Posted by: cpainvestor |at: 2008/01/20 1:19 AM
>美容部員さんは日に何度もメークしているのですか

そうです!!突込みどころはここです!(笑)
…だから、お姉さん達は、いつも完璧メークで笑顔なのです!

業界の人に聞いてみました。ざっと言うと、お姉さん達はしっかり化粧品に関する知識を持っている⇒その訓練、アップデートも費用に入っているかも。彼女達がいるデパート商品とドラッグストア商品ではラインナップが違っているのはその原価も見ているし、口紅では材料よりケースが本当に高いという場合が多いらしいですが、実際は、高い化粧品はそれなりの原価の材料が使われているそうです。

そのおっきな広告のシャンプーはドラッグストア向けなのでなんともいえませんが…

でも、たしかに、高いタレントさんっていうと、最近の某携帯電話企業はどう解釈していいのか。。。インフラなのにハリウッドスターですもんね。
Posted by: rita |at: 2008/01/23 11:47 PM
化粧品だけではないが、化粧品の
CMに出てくる女性というのは、フルメイクですよね?メークを落としたら…?(有名人でいうと私は黒柳徹子さんの素顔が想像できない。前髪も眉毛が見えないギリギリですし)それに10年少し前からPCで簡単に写真等の画像修整が出来るようになってます。アンチ・エージング化粧品で、50代に入っている元人気女優さんがモデルになっている
広告を見ましたが、【コレは絶対に
修正してるな】って素人でもわかりますもん。写真集とかでも修正は普通ですって。婦人雑誌・芸能系雑誌も表紙その他、【修正グラビア】いっくらでもある。化粧品広告も、これは化粧品の成果じゃなくて、整形です、修正ですって。おかしいのは、そんなに基礎化粧品が発達して
いたら肌がキレイな筈じゃないですか?なのにやたらカバー力が強いファンデーションが求められる。それも20代の人が愛用しているそうですよ。おまけに、本来なら40代後半以降の人が使うんだろう化粧品を30代頭の人が一番愛用しているそうです。どうなっているんでしょう?
〜芸能人やTVの有名人をCMに使うと、飛び着く人が多いんですよね。
Posted by: Terry |at: 2011/09/22 9:34 PM
Terryさん

古いエントリーにコメントをありがとうございます。
化粧品というビジネスは本当に研究すればするほど、面白味があるような気がします。

ダイレクト通販化粧品会社徹底解剖などというのも、そのうちやってみたい特集です。
Posted by: cpainvestor |at: 2011/10/03 12:34 AM
50代に突入した会社員です。20代のころから資生堂をスタートに有名海外ブランドから激安コスメ、韓国化粧品まで使い倒してきました。
今は、朝、顔を洗ってそのまま朝食の準備をして、ベ○ミネラルのファンデをブラシで叩いておしまい。リップも同社のもの。帰宅してすぐに化粧品を石鹸で落としてそれて終わり。そんな日々を続けていたらまわりから肌がきれいになったといわれました。
そんな話を友人にしたら、友人も化粧品は実は最低限のもので十分なんだよねーこれまでの散財はなんだったんだろうね。で、意気投合しました。
Posted by: お肌きれい |at: 2015/07/02 9:29 AM
化粧品の原価を調べてたどり着きました。

>10,000円のファンデーションの製造コストは、2,680円に過ぎないということです。

これなのですが、下のリンク先のHPで見ると、

http://nikibi.koenji.clinic/archives/1024

実際はこの1万円というのは卸売の価格で、小売価格(デパートや化粧品専門店)の価格はさらに30〜40%上乗せされているようなのですが、そうなるともっともっと原価は安いということなのでしょうか、、
Posted by: りん |at: 2016/09/18 10:54 AM








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