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専門家にとってのBtoCビジネス

 

 ご近所の顔見知りや、息子と同級の親御さんなどに自己紹介をする際、自分の職業を「会計士です」と言うと、「じゃあ会計事務所を経営なさっているんですか?」とか、「税金でわからないことがあるときに教えて下さい」などと言われることが多々あります。それくらい会計士という職業はマイナーで、町の税理士さんと区別がつかない方が多いのではないでしょうか。
 そうした中で、ここ数年、会計士という職業の認知度を飛躍的に高めて頂いたのは、なんと言っても勝間和代女史だと思われます。この方、会計士の独占業務である会計監査をやっていたのはわずか半年くらいで、キャリアの大半が戦略コンサルタントと証券アナリストですから、私達の業界では「完全なるアウトライヤー」であり、同業としてくくらせていただくのは大変恐れおおいわけですが、とにもかくにもお茶の間に「公認会計士」という職業を広めて頂いた彼女の功績は大きいと思います。

 私の元同僚の中にも独立してがんばっている人間は何人もおりますが、やっている仕事の内容は、監査や税務、それに付随する経理系コンサルティングなど、今までやってきた業務の延長であることが多く、「同業であれば何をやっているかが容易に想像できるBtoBビジネス」であることが多いです。それに比べて、勝間女史がやられているのは、「作家、タレント型BtoCビジネス」であり、全くタイプが異なっています。

 勝間女史の著書は、初期の会計本や一部の翻訳本は購入して読み、良書であると感じましたが、それ以降の企画物や新書の類は、本屋で見かけても、正直まったく読む気がしませんでした。(ご本人に言わせると、あなたは読者ターゲットではないということなのでしょう。)しかしながら、今回出された新著「有名人になる」ということ は、いくつかのブログで面白い書評が出ていたので、久しぶりに購入して、帰りの電車で読んでみました。この書籍、「カツマーブームの勃興から終焉」を当人の立場から淡々と分析・記述されているのですが、マスマーケットでの認知度を上げるべく、ご本人が戦略を立てて、思考錯誤しながら挑戦してきた過程が書かれていて、非常に興味深く読むことができました。相変わらず著書のタイトルは挑戦的ではありますが、文体は以前の著書に比べ、だいぶやわらかく謙虚になっております(笑)。

 この書籍、タイトルだけ読むと全く買いたくなくなりそうですが、中身は大企業相手のBtoBの専門的職業で生きてきたような方が、独立して完全なBtoCのマーケット、もしくは中小企業オーナーや個人事業主向けのマーケットに出る場合に、どの部分で差別化し、どのように認知度を上げ、どこで稼ぎ、何に気をつけるべきか、そのエッセンスがつまっているように感じました。今までドブ板営業の経験などがなく、大企業向けに会社の看板を使って専門的な仕事をしてきたような方がピンで独立し、「専門家としてのBtoCビジネス」を展開していきたいと思っている方には、非常に参考になる内容だと思います。
 カツマーブームのピークに達した時、多数の連載と著書の企画、テレビのレギュラー出演を抱え、個々のコンテンツの品質劣化が起きていることは、何よりご本人が一番感じておられたこと、それでも「このチャンスを逃すと次はないかもしれない」(この気持ち、スポット仕事をメインとしている私もすごくよくわかります)という恐怖感から断れなかったことを、「断る力」 でブレイクした当人が赤裸々につづっているのは印象的でした。

 私個人的には、かつて自分の師匠に言われた「看板やプラットフォームに依存しない独自の販路を持つこと」「専門家として生きていきたいならば、BtoBのレベルの高い顧客とのビジネスから離れてはいけないこと」の重要性を、この本を読んで、改めて再認識した次第です。

 なお、勝間女史の初期の以下の2作品は、クオリティも高く、私自身、企業研修などの参考書籍として薦めることも多いです。真の財務諸表分析力、ビジネスモデル思考などを理解したい方は読んでおいて損はないと思います。

決算書の暗号を解け! ダメ株を見破る投資のルール

勝間式「利益の方程式」 ─商売は粉もの屋に学べ!─
| cpainvestor | 23:25 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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