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抽象と具体の往復運動

 

 今春卒業した大学院の授業の中で、最も面白かったのが、楠木先生の競争戦略論でした。「ストーリーとしての競争戦略」ですっかり売れっ子作家になってしまった感がありますが、講義を受けていて、学者さんというより一流のエンターテイナーだと感じました。楠木先生は、若かりし頃に場末のスナックでボーカルとして歌っていた経験もあるそうで、個々の会社のユニークな競争戦略を、誰もが聞きたくなる物語に落とし込んで、わかりやすいメッセージとして伝えるプレゼンテーションは、毎回とても面白く、私個人的にはそのプレゼン手法そのものも非常に勉強になりました。

 最近、楠木先生の新著「経営センスの論理 」を読みましたが、こちらも楠木先生の講義の続編を聞いているようなエッセイ集で、新幹線で移動中の清涼剤として楽しませてもらいました。この新書の出版社が「経営センスの論理」などと名付けるから「経営センスなぞどこにも書いてないじゃないか!」といった変な書評がWEBに出るわけで、「楠木漫談炸裂!」とでもしておけば、何の問題もなかったでしょう。読み物としての付加価値ば別として、おそらく日本の経営学者で、読者が腹を抱えて笑える文章を書けるのはこの方だけではないでしょうか。

 この本に載っている話で、私が受けた講義中にもたしか解説があり、非常に印象的だったのが、「地頭の良さ」に関する楠木流の定義です。楠木先生は、「地頭の良さ」を「抽象と具体を行ったり来たりする振れ幅の大きさと、その往復運動の頻度の高さ及びスピード」と定義されていますが、私もこの定義を聞いた時には、まさにそのとおりだと思いました。

 いわゆる「できる方」の思考法はどこか共通していて、具体例を抽象化して捉えて応用しようとしますし、抽象的なコンセプトから具体的な解決策を導こうとします。例えば、ビジネス上のミーティングなどでは、具体的で詳細な論点ばかり並べる残念な方の話には、「で、何が言いたいの?」、抽象的な論点ばかり並べる残念な方の話には、「で、明日からどうすればいいの?」と、皆がそれぞれに突っ込みを入れたくなるはずです。その点、誰もが「この方、やるな」と認める方は、重要なコンセプトから入っていって、きちんと具体的な施策に落とし込んだり、具体例からうまくエッセンスを抜き出して自分に合う形にカスタマイズするスキルが秀でていて、しかもそのバランスが絶妙であるように感じます。
 こういった能力がどのようにすると身につくかは不明ですが、楠木先生の言うように、そういうセンスのある方を早く見つけ出して組織内部からは放り出し、まずは小さなチームを丸ごと任せて鍛えるというというのが、組織を任せるプロ経営者育成の早道なのかもしれません。

 私が最近思いきり笑ったこの動画を見て、清水ミチコさんという方も抽象と具体の往復運動が頻繁にできる「地頭の良いプロフェッショナル芸人」だということを痛感いたしました。さすがにこの業界も息の長い方は突き抜けてます。この方のライブ行きたくなりました。皆さんも気分転換にどうぞ。

| cpainvestor | 23:57 | comments(1) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
清水ミチコさんは、天才の方の思考を凡人に伝えることのできる人だと思います。
Posted by: imawac |at: 2013/06/27 9:46 PM








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