Entry: main  << >>
読書の秋

 ふだん忙しくて、なかなか仕事に関係ない本を読む時間がとれませんが、ここのところ出張が続いたため、久しぶりに長い移動時間が確保できました。前からずっと気になっていた本屋大賞のベストセラー作品、「天地明察」と「海賊と呼ばれた男」ようやく読み切ることができました。

「天地明察」



 江戸時代の「改暦」というマニアックな事業を成し遂げた渋川春海という囲碁侍をテーマにした小説ですが、抜群に面白かったです。時代小説というと、戦国や幕末の英雄、その参謀などが書かれることが多いわけですが、天下泰平となった江戸時代の一学者をとりあげ、そこに同時代の傑出した数学者、関孝和をからめたストーリー設定は見事という他はありません。また、男子理想の「ツンデレヒロイン」もお約束のように登場し、恋愛をからめるあたりは、小説の王道といえます。
 それにしてもすごいのは、冲方丁という作家の圧倒的な知識量です。この小説を読むだけで、江戸時代の世相や数学・天文学のレベル、神道や陰陽師の歴史、当時の政治体制など膨大な量の知識が入ってきます。この小説を書くために、どれだけの時間を文献収集や取材に費やしたのか…想像を絶します。これぞ「プロの物書き」の真骨頂を見た気がしました。

「海賊とよばれた男」



 こちらは出光興産の創業者、出光佐三をモデルにした歴史時代小説で、どこの本屋の店頭にも置いてある大ベストセラーです。ずっと読みたいと思い、部屋の片隅に積んであったハードカバーをようやく開けたら最後、こちらも止まらなくなりました。
 ベールにつつまれた未上場の豪族大企業というのは日本にいくつかあって、出光興産も数年前までその中の一つであったと記憶しています。出光の独特のカルチャーに関しては、新人の頃、業務で訪問していた石油業界の会社でよく聞いていました。「大家族主義」「定年なしの終身雇用制」「タイムカードなし」といった企業風土がどうして生まれてきたのか、この小説を読むとよくわかる気がします。
 戦後の難局を乗り切った出光興産は、出光佐三のカリスマリーダーシップで大きく事業が拡大、その路線を継承した同族社長達も、猛烈営業スタイルを貫き、1990年代半ばには販売量で石油元売業界のトップに立ちます。
しかしながら、その後石油内需が飽和化して競争が激化していく中で、積極的な設備・事業投資が裏目に出て、過大な有利子負債を抱えた出光興産は経営危機が噂されるまで業績が落ち込みます。
 このような状況下のもと、初めての非同族社長として選任された天坊氏は、経営改革を断行、創業家を説得して上場に踏み切り、今の出光興産があります。このあたりのバックグラウンド情報も意識しながら、「海賊とよばれた男」を読むと、また味わいが変わってきます。

 最近、ちょっとした隙間時間には、ついスマホなどでまとめサイトなどを読んでしまうことが多かった自分ですが、大作を2つほど読んで改めて「プロの書く活字」を読むことにもっと時間を使った方が良いと思うようになりました。 Kindle Paperwhite も購入したことですし、この秋は良書と思われる仕事と関係ない本をもっと読みたいと思います。
| cpainvestor | 16:46 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment








Trackback

Calendar

 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>

Profile

来訪者数(11/18/07より)

クリックで救える命がある。

経済・投資情報


Shops

Oisix(おいしっくす)/Okasix(おかしっくす)

過去の人気エントリー

Search

Entry

Comment

Trackback

Archives

Category

Link

Feed

Others

Mobile

qrcode