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イスラエル紀行(2/3)

スタートアップ・ネーション

 

(ハイファのハイテク工業団地 筆者撮影)

 

 イスラエルの人口はわずか800万人、面積は日本の四国程度、国土の9割は砂漠気候で、(最近はガス田が発見されたようですが)天然資源も乏しく、周りは仮想敵国だらけです。

 

 こんな政治・経済的には「ネガティブ要因の塊」のような国であるにもかかわらず、毎年600〜1,000社のスタートアップ企業が生まれ、ベンチャーキャピタル(VC)からの年間投資額は5,000億に迫ります。また、IBM、インテル、シスコ、Google、Appleなど世界のハイテク企業がこの国に研究所を持ち、次々と当地のベンチャーを買収し、ナスダック上場企業も60社を超えています。

 

 「この国でいったい何が起こっているのか」を、現地政府元高官、ベンチャーキャピタリスト、インキュベーター、現地ハイテク企業などから直接学ぶことが、今回の旅の目的の一つでした。

 

 イスラエルのイノベーションエコシステムとして、現地のイノベーション支援機関の方から説明を受けたのは以下の4つのセクターが1つのクラスターとして有機的に機能しているとのことでした。

 

  1. 政府機関:政府の役割を「民間がとれないリスクをとる」と定義し、国策としてスタートアップ企業を支援しています。特にICT、サイバーセキュリティ、バイオテクノロジー、フィンテックといった分野に研究開発補助金を積極的に提供しています。プロジェクト1案件当たりの補助金額は、最低でも数億円とのことでした。
  2. 民間セクター:国内外の資本を資金源とするVCが多数活動しているほか、自らコーワーキングスペースを運営し、スタートアップ企業の経営・資金を支援するインキュベーターが20社以上存在し、その存在感を高めています。
  3. 防衛産業:GDPの5%、世界ランキング15位に入る巨額の予算をつぎ込んでいる防衛産業からの民間への技術移転を積極的に進めています。例えば、イスラエルのハイテク企業の代表ともいえる、自動運転技術開発のMobileye(ナスダック上場、直近の時価総額は1兆円を超える)は、もともとミサイルの目標追尾技術を応用したものらしいです。
  4. 学術界世界ランキングの常連であるエルサレムのヘブライ大学、ハイファのテクニオン工科大などは、優秀なエンジニアの供給基地となっているだけにとどまらず、積極的に産学連携を進め、研究成果の民間移転と産業化を進めています。実際、大学の傍には、多くのグローバルハイテク企業の研究機関が集積しています。

 

 防衛産業が巨大であるのは、イスラエルの国の成り立ちに関係する大きな特徴といえるものの、たとえこの仕組みを真似したからといって、他国(例えば日本)でイノベーションが活性化するかというと、そうではないように思います。

 なぜなら、この国を訪ねてみて、改めてリスクを厭わずに挑戦する「ユダヤの国民性」について、多くのことを感じたからです。

 

(テルアビブのホテルから見た地中海:筆者撮影)

| cpainvestor | 16:29 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
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