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Curvesのビジネスについて考える
  
  最近、私の妻が、「健康に痩せる」ことを目標に、Curvesというスポーツジムに通い始めました。このアメリカ生まれのスポーツジム、シャワーもない部屋にフィットネスマシンが置いてあるだけの簡易な施設のようですが、「30分で、筋トレ・有酸素運動・ストレッチが手軽にできる」、「女性専用」を売りにフランチャイズ(FC)方式で急成長(現在全国に600店舗を展開)しているようです。
 
  このような急成長ビジネスを見るにつけ、「ビジネス分析」をしたくなるのは会計士兼投資家としての私の性ですので、しばし、この女性専用スポーツジムのフランチャイズ本部(FC本部)になったつもりで簡単にビジネス分析をしてみましょう。

 市場及びターゲット顧客 
  このスポーツジムのターゲット顧客は、会社帰りや、ちょっとした空き時間に運動して痩せたいと考えている若年〜中年の女性でしょうか。(フィットネス機器を使った筋トレもありますから、あまり高齢の女性はターゲットではないでしょう)
  女性にターゲットを絞り込むということで、従来のフィットネス市場の半分しか抑えられないのではないかという懸念は素人考えのようです。今まで「男性にスッピンで運動しているところ(ダイエットしているところ?)を見られるのは嫌だ!」、「遠くまで行って何時間もかかるものではなく、もっと近所で手軽な運動をこまめにしたい!」という女性顧客のニーズをとらえて、従来のフィットネスクラブからの特定セグメントの顧客収奪に加え、更にこれまでフィットネスクラブに行ったことがない女性の潜在顧客の掘り起こしにも成功しているようです。

  競合状況
  価格帯(5,000〜7,000円/月)から考えて、従来型のフィットネスクラブ(フィットネス機器やテニスコート、プールなどの施設を備えたセントラルスポーツクラブや、コナミスポーツクラブなど)は当然、競合と考えられるとは思われます。ただ、こうした従来型フィットネスクラブが半径1Km圏内に林立しているところにも、果敢に出店しているところから考えて、「もっと手軽にリーズナブルな値段でコマメに運動したい、という絞り込まれた顧客のニーズ」のみを拾い上げることで、真正面からの競合は避けている感じです。
  むしろ、「フィットネスクラブは高いので、通販で購入したエアロバイクなどを家の中でこいで、ひたすら隠れて痩せようとしていた主婦」などをターゲットにしていると思われることから、家庭内フィットネス器具販売企業の方が競合度合は高いかもしれません。

  この企業のビジネスモデル
  女性専用小規模スポーツジムの運営ノウハウを提供するかわりに、フランチャイズ加盟者(以下FC加盟店)から、加盟金収入、ランニングロイヤリティ、フィットネス器具や店舗で販売する商品、店舗で使用する消耗品などの卸売による利益などを得る仕組みだと思われます。
  FC加盟店オーナーの立場から考えてみると、シャワー等もなく、数台のフィットネス器具を設置するだけで、あとは主にアルバイトスタッフが指導するだけですので、初期投資負担が飲食店ビジネスなどに比べて、比較的少なくて済むものと想定されます。
  また、オペレーションコストについて考えてみると、食材仕入などがなく、人件費と賃料、FC本部へのロイヤルティだけですので、ロイヤルティ率さえそこそこなら、比較的低いものと想定されます。その意味で、うまく顧客を募集し、定着化させるノウハウさえ持ち合わせていれば(本部が指導してくれれば)、従来のフィットネスクラブに比べ、より小さな商圏でも成立するストック型ビジネスモデルであると考えられます。(フィットネスクラブ業界におけるゲリラ的存在といえるかもしれません)
  上記の特徴は、FC本部側にとっては、出店余地が極めて大きい(従来型フィットネスクラブが林立するところでもそれなりに出店できるし、これまで、従来型フィットネスクラブが出店できなかった田舎の地域にも出店できる)ということになりますから、短期的には成長可能性もそれなりにあると思われます。「メタボ関連」の有力候補かもしれません(笑)。

  リスク分析
  ただし、ちょっと考えただけでも以下のようにビジネスモデルは穴だらけです。
○ 初期投資額が低く、似たようなフィットネス器具もそろえられないことはないでしょうし、指導ノウハウもそれほど特殊なものではないようですから、参入障壁は極めて低く、真似されやすい。
○ 利用会員は銀行引き落としなどのストック型であるとはいえ、一定期間の実質的な解約禁止条項はつけづらく、近隣に「シャワー付きお手軽フィットネス」が同値段で出てきたら、すぐに顧客離反が起きそうで、スイッチコストは高くない。
○ 施設型ビジネスであり、新規会員を何人獲得しても、基本コストはほとんど固定費のみで、追加コストはかからないものと推測されることから、FC本部は、売上の捕捉をしっかり確認できる仕組みを作らないと、FC加盟店の会員数のごまかし等に対処できず、ロイヤルティの回収漏れ等が生じる可能性がある。
○ FC本部に、「一定期間で教え込める指導ノウハウ」以外の「売り」がなく、FC加盟店がずっと加盟し続けるメリットが少ない。(一般的に、FC飲食ビジネスなら、独自食材、FC小売ビジネスならPB商品や緻密な需要予測にも使えるPOSシステム、FC中古車販売なら、適正な値段での中古車買取を可能ならしめる市場売買情報など、FC本部には、FC加盟店が離れたくてもずっと離れられない「キラーコンテンツ」があるものですが、このビジネスにはそれが見当たらないような気がします。)ということは、元FC加盟店の経験のあるオーナーなら、他人名義などを借用して簡単に競合店舗を作ることができる可能性があります。

  結論
  このビジネスに関する数字はまだほとんど見ていませんが、どう見ても、「スピード命」の先行者利得獲得型体育会系ビジネスモデルとしてしか見えず、短命のような気がして、投資する気は萎えます。(妻にはがんばって続けて欲しいですが・・・)

  何か、別の参入障壁のようなものに気がついた方がいらっしゃいましたら、ご意見下さい。
| cpainvestor | 22:42 | comments(5) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
CPAINVESTER様
過去にこのビジネスを自己のBLOGで分析された方がいます。以下引用します。
加盟金:250万円
ロイヤルティー+広告分担金:売上に対する8% その他に、事務手数料が会員一人当たりにかかってきます。標準開業資金:2,000万円
9ヶ月目、会員数296人のときに、月次のCFが黒字。36ヶ月目(3年間)、会員数541人で開業資金2,000万円も含めた投資が回収され、累積のキャッシュフローは黒字になります。
5年目の年間PLのイメージは売上43百万円、営業利益18百万円、営業利益率42%となります。

以上多少はしょっています。
さて、現実のビジネスはどうでしょうか?どうも月売上200万円前後に強烈な敷居がありそうです。その原因は、いろいろありそうですが、多分、サーキットの大きさの人の収容力の限界をきめ、売上に跳ね返ってきていると思われます。
ということは、大きめのサーキットをつくるとこの敷居は乗り越えられる可能性もあります。

さて、カーブスと同時にJサーキットなる関西発のものもあります。こちらはFCでなくともOKで、ロイヤリティない分、経営は楽かもしれません。
一番のポイントは、いかに、健康に気をつけている女性特に30代−60前後の人口密集が絶対の条件と思われます。都内でも厳しいところも多いときいています。
参入はいまもふえつづているようですが、どこが生き残るか、興味しんしんです!
Posted by: nabe59 |at: 2008/04/06 11:44 PM
CPAINVESTER様

いろいろと考えてみましたが、現状では自分も参入障壁はかなり低いと思われます。

ただ、すでに600店舗もあるということですから、それを武器に「健康・ダイエットに興味のある人へダイレクトにアクセスできる場所」として宣伝や販売の場所に使えば参入障壁になるのでは?と思いました。

具体的には、スポーツ用品、健康食品、健康器具、整体、マッサージ屋などなどの宣伝や販売の場所として活用する、といった具合です。

これらの売上が会員収入と半々位まで持って行ければ参入障壁になるのかも・・・などとおもいましましたがどうでしょうか?


追記

リンク先のHPでフランチャイズオーナーの発言に「カーブスは従業員に経験者でも泣くほどキツイ研修をする」とありました。いったい何をしているんでしょうかね。。文字通り体育会系なんでしょうけど、変な企業体質が無いかちょっと心配です。
Posted by: ny |at: 2008/04/11 12:13 PM
nabe59様

定量的な条件データをありがとうございます。こういうのを見ると、職業柄、エクセルでちゃかちゃかとシミュレーションしたくなるわけですが、仕事ではないので、やめておきます(笑)

上記のデータからは、「いかに早く会員数を300人に持っていくか」というのは、極めて重要ですね。

その意味で、短期間で会員を大量に獲得するマーケティングノウハウと会員の解約をできる限り防ぐ、解約防止施策が極めて重要な気がします。
その次に来るのが、キャパシティの制約による混雑緩和策のノウハウでしょう。

もう少し、分析してみたい気もしますが、ベーカリーの方が面白そうなので、そちらを優先させて頂きます。

私もどこが生き残るかは興味しんしんです。




Posted by: cpainvestor |at: 2008/04/13 9:16 PM
ny様

コメントありがとうございます。
ご指摘の内容は、店舗を「健康」のプラットフォームにするみたいな発想でしょうか。

会社も事業提携や関連商品のクロスセルは当然考えているでしょう。ただ、クロスセルしている商品が、ダイエットサプリや、プロテインだったりしそうですが・・・(笑)

「先行者利得」しかないビジネスというのは、世の中にいっぱいあるわけで、会員を確保している採算に乗った店が400〜500店舗まで行けば、「先行者利得」もそれなりの競争優位性となり、参入を抑制する効果もそれなりに出てきそうな気はします。

ただ、競争優位性を維持するために、いけるところまで「ひたすら出店し続ける」という体育会系戦略は、あまりに能がない気がします。投資家としては、何かもうひとひねり欲しいところです。

熱狂的なファンも多い、ソニーのラップトップPC、VAIOが平均3年程度でなんとなく壊れてしまい、買い替えを促すような、そんな仕掛けが欲しいところです。




Posted by: cpainvestor |at: 2008/04/13 9:35 PM
ご丁寧に返答ありがとうございます。
そうですね、クロスセル+プラットフォームの発想です。

ただこれだと競合を宣伝するような形になってしまいますので、たしかにプランとしてはまだまだ甘いですね。

あとはタカノユリビューティークリニックのように、ダイエット大会を開催するなど、そういったものくらいしか思いつかないです。。。

アップルがIPODとITUNEの両仕掛けで儲けたような、お手軽なジムに加えて何かキラーコンテンツになるものがあると化けそうな気もします。自分は全く思いつきませんが・・^^;

広告スペースとしては、600×一店舗数百人の会員であれば、合計で10万は超えるでしょうから、ターゲットが明確な分、ナイキやアディダスのような大手でも興味を持つレベルなのかな、とは思います。先日自動車教習所の広告代理で成功したという事例を見つけましたので、それをマネしてみました。

パンも少し考えて見たいと思います。
Posted by: ny |at: 2008/04/14 4:20 PM








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