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「継ぎ手モデルの確立」と「J2リーグの育成」
 
 超長時間労働の問題は、読者の皆さんの関心も高いようで、はてなのブックマークとコメントも沢山頂きました。私の1日当たりアクセス数の記録更新(11,467アクセス)に貢献して頂き、問題意識を共有して頂いた方々に感謝申し上げます。

 さて、優秀な投資家兼お医者様であるKAPPAさん(著書の「科学的株投資術」はオススメです)からの以下のコメントには、私も同意します。

 「家庭も大事だという価値観は尊重されるべきですし、いやいや、あるいは仕方なしに長時間労働をすることは避けるべきですが、俺は思い切り仕事をしたいと仕事に燃えている人もいるわけで、そういう人まで長時間労働を一律に禁止する現在の風潮は?です。」


 確かに、若くて独身、体力があり、プロジェクトメンバーの一員であるうちは、私自身の経験から考えても、長時間労働による「量」をこなすことも、自分がチームを仕切る立場になったときのチーム全体の仕事の「質」を高める上で、ある程度必要であるように思います(チームリーダになったときにも同じ仕事の仕方を全てのスタッフに強要するのには、大いに反対ではありますが・・・)

 また、「心は萌え」さんがコメント欄で指摘されているように、「長時間労働を廃止したことで、サービスの競争力が低下し、仕事がこなくなったら元も子もないのでは」という主張にも、自分が経営サイドに立って考えてみた場合には、頷けるものがあります。(今のところ、私は現状属する組織の経営層に属したいと思うほどの忠誠心、愛着はありませんが・・・)

 上記のようなコメントも想定した上で、私が今年の上司との面談で掲げた新しい個人目標が次の「継ぎ手モデルの確立」と「J2リーグ育成」です。(読者の皆様には、全く何のことはわからないと思いますので、以下説明します。)


「継ぎ手モデルの確立」

 サービスの競争優位を保つ上で、より多角的かつ斬新な分析を行い、企業の実態を詳らかにするような分析レポートを作成し続けることは、確かに王道ではあると思いますが、過去にも書いたように、良いものを作れば作るほど、顧客の眼が肥えて期待値が上がってしまうので、正直言って自分達のクビを締めることにつながります。また、レポートそのものはいかに守秘義務でガードをかけていても、様々な形でコピーされて、場合によっては競合他社にも転々流通するのは避けようがありません。また、とても地頭の良いお客様になると、自分達でその分析手法を体得してしまって、付加価値の高い部分については、内製化し、次から私達に外注しなくなってしまうというリスクもあります。

 こういったジレンマを克服し、サービスの競争力を維持し続けるには、結局、「いかに肝となる情報を文書に落とさないか」という逆転の発想が必要になることに気がつきました。(半分上司の受け売りですが・・・)つまり、レポート(パーツ)はもちろん重要情報を記載したものを競合他社とさほどそん色ないレベルで作成します。その上で、それらのパーツを有機的に接合する「継ぎ手」部分は、あくまで自分達が保有して、口頭や、ホワイトボードを使って報告会の際に即興でわかりやすく説明するという高等テクニックです。
 
 このようなテクニックを体得すると、報告会に参加した方々だけが、「継ぎ手」部分の感動プレゼンにより、初めて私達が伝えたかった真の全体像がわかり、サービスにご満足頂けるという仕組みです。この「継ぎ手モデル」をお客様に絶対に悟られないように実践することが、やはり私達に任せると、有意義なアドバイスが沢山出てくるという信頼感を生み、「相見積もり」をされずに、レベルの極めて高い顧客のリピート受注を獲得し続けるための一つの有効な手法になるのだと思っています。

 この「継ぎ手」部分の感動プレゼンを、レベルの高いお客様の前で行うには、実務経験に裏打ちされた様々な知識、ビジネス・投資リスク感知能力、高度なプレゼンテクニック等を総動員する必要があるわけですが、これはJAZZの即興、クラッシックのカデンツァに似て、個人的にはプロフェッショナルとして挑戦しがいのある課題だと思っています。また、当然ですが、この「継ぎ手モデル」を実践するためには、クリアな頭でプレゼンの組立てを考える相当な準備時間を要するわけで、徹夜して最後までレポートを作って、当日は原稿を読んでいるだけでは絶対にたどりつけません。その意味で、レポートはつかんだ情報の6〜7割程度を整理したアウトプットで良いのだと割り切れるようになってきました。(こうすることで、過度のレポーティング負担による長時間労働と表示した数字に関するリスク負担から解放されるメリットはやはり大きいです。)

「J2リーグの育成」

 上記のような「継ぎ手」モデルも駆使しながら、全力で対応しなければ競争優位性を保てないM&A経験の豊富なレベルの高いお客様群をサッカーに例えて「J1リーグ」と定義するとすれば、私の次のミッションは、あまりM&A経験が豊富でないような事業会社系のお客様群「J2リーグ」を開拓することだと思っています。
 お客様がJ1リーグ級だけに集中すると、単価は高いですが、サービスの要求水準も極めて高くなります。このため、作業効率の改善では、「超長時間労働」を「長時間労働」にするのが精一杯で、それでもエース級の人材を何人も投入しないと簡単にやられてしまいます。すなわち、J1リーグ顧客群の仕事ばかりでは、超優秀なワーカホリックの方を除き、どんどん人材が燃え尽きて退職してしまいますから、最後は超優秀な少数の個人プレイヤーだけが残留することとなり、組織レバレッジが全く効きません。

 超優秀な人材はJ1リーグの対応のための超長時間労働に没頭し、自分の能力を限界までストレッチすることで、日経1面に載るようなビックディールに関与した快感に浸っていれば良いのでしょうが、それ以外の普通以下の人材は、「まずは組しやすい顧客を相手に、プロジェクトマネージャーとしての経験を積む」という場数を踏む機会がとても重要になると思っています。また、J1リーグで疲弊したベテランにとっても、このような環境でのリハビリの機会が重要になります。
 私は、J1リーグで自らの能力の限界に挑戦し続ける意欲も能力もなさそうなので(笑)、組織レバレッジが効きそうなJ2リーグクライアント群を開拓して、様々なアドバイスをしながら私のような凡人を多く戦力化することにより力を注ぎたいなと思っています。

 この2つのミッションがある程度果たせるようになったら、この組織に所属し続けるインセンティブもなくなり、卒業が見えてくるような気もします。

 「継ぎ手モデルの確立」と「J2リーグの育成」、辛抱強く取り組みたいと思っています。
| cpainvestor | 01:53 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
Comment
類似業務に従事しておりますので、よく分かります。身に染みます。

継ぎ手モデルとは何だ?と思いましたが、読んで見ると、かなり深い話ですね。

「肝心の部分を紙に落とさない」というのは、「相当ハイレベルな紙を書ける、書いたことがある」人じゃないと、やっても効果が出ないことでもありますよね。

J2リーグの話もよくわかりますが、私が察するにcpainvestorさんくらいのハイパフォーマーになると、J1の試合に無理やり投入されちゃうんじゃないでしょうか(笑)

J1でプレーできる実力がある人間は、J2に留まらせてもらえない、というケースが多いように思います。

大変興味を喚起されるエントリありがとうございます。
Posted by: mcguinness |at: 2008/09/27 6:49 AM
mcguiness様

コメントありがとうございます。
「継ぎ手モデル」は確かに、一度アウトプットを突き詰めたことがないとできない部分でもありますし、ある程度私達の仕事ぶりが理解してもらえているリピートのお客様でないと、使いづらい技術でもあります。

ただ、素晴らしいアウトプットを出して陶酔感に浸っている同業者を見るにつけ、「そんなに無防備に吐き出したら、みんなぱくられちゃうよぉ」と思ったりもするわけです。

難しいところです。

なお、私の職場には、私よりマゾなハイパフォーマーが何名かいますので、J1案件は避けられるのではないかと期待しております。
Posted by: cpainvestor |at: 2008/09/28 4:04 AM
フォントの固定をやめてください
小さい文字だけだと私には見難いのです。よろしくね。
Posted by: 要望です |at: 2008/09/28 9:03 AM
遠視の皆様への配慮が足りず、申し訳ありません。

このブログはできあいのテンプレートから作っているので、フォントの固定をやめるという設定、私には難しくてできません。可能な範囲で全体のフォントを大きくしてみましたが、やはり見づらいでしょうか。

どうしても見づらい場合には、Webページのフォントの設定の解除を行って頂くのがよろしいかと思います。
以下参照。

インターネットエクスプローラーを開く→ツール→全般タグ→ユーザー補助→Webページで指定されたフォントサイズを使用しないにチェックマーク

これで、文字は大きくなると思います。



Posted by: cpainvestor |at: 2008/09/28 10:15 PM
全部見せてしまうとパクられる、というのは知識労働の構造的な問題ですね。
なので、質の良い本を読んだりすると、こんな良い本をよく1000円程度で売るなあと、嬉しい反面申し訳なくなってしまいます。(かといってウン十万の価格では手も出ませんが
・・)

「抱え込まずに手放す事でさらに情報や仕事が集まる」なんて事を書いている人も居ましたが、とてもとても怖くてそんなマネは出来そうに有りません。

こちらのブログもタダで読ませてもらって申し訳ないと思いつつ、毎日の巡回ルートに入っています。継ぎ手テクも参考にします^^。

Posted by: ny |at: 2008/09/28 10:47 PM
ny様

「資料をコピーされると簡単に再現できてしまうような仕事はプロの仕事とは言えない」という私の師匠の言葉は、本当に重いなあと実感する今日この頃です。

とはいえ、自分のアウトプットが自分のあずかり知らぬところで、平然とパクられているのは、やはりいい気持ちがしませんよね。後生大事に抱え込むようなレベルのものではないことがほとんどなので、一言言ってもらえるだけで大分違うのですが・・・。
Posted by: cpainvestor |at: 2008/09/29 12:26 AM








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