Page: 2/7  << >>
卵はひとつの籠に盛るな


 東北関東大震災では、東北地方を巨大な津波が襲い、その後は原発危機で日本中が騒然となり、14日からは、日本の資本市場にも津波が襲いました。

 原発危機と資本市場の危機については、まだまったく予断を許さない状況にありますが、いずれも自分が事後的にできることを行った後は、静観するしかありません。

 原発危機について、まったくもって痛切に思うのは、「なぜ、同じ場所に6基も作ったのか?」ということです。
 もちろん近隣住民対策や設置コストだけを考えれば、一つ一つ分散して立地させていたのでは割りに合わないのでしょうが、次々に発生するトラブルを見ていると「コストをかけても分散すること」の大切さを改めて感じます。

 14日から押し寄せている国内資本市場への大津波もまったく同様です。相場の好調がしばらく続いておりましたから、買い建ての信用取引で多くのポジションをはっていた方も、相場下落時よりもずっと多かったのではないでしょうか。その結果、14日、15日の暴落で再起不能になっている方も相当数いらっしゃるのではないかと思います。

 かくいう私も、初日の暴落で、ここ半年間の含み益がふっとび、2日目の暴落で、住宅購入の資金計画を少し見直しせざるを得ない状況となりました。ただ、/用取引は手を出していなかったこと、運用資産の半分が外貨であったこと、住宅購入に備えてここ1年は運用資産に追加資金を投入せずにキャッシュポジションを高めていたことで、今回はなんとか最悪の事態には陥らずにすんでいます。今回、事後的にできる処置として、とりあえず、外貨資産での運用ポジションは、ほぼ全てを現金化しました。(日本株は放置どころか昨日少し買い増してしまいましたが・・・)。

 リスクマネジメント関連の書籍などを読むと、リスクに対する対処策としてよく以下の4つが挙げられています。

.螢好回避
 リスクが発生する諸要因そのものを完全に排除すること。
 
▲螢好移転
 リスクが発生する諸要因はそのまま残して、リスク発生時の損害を第三者に移転すること(保険契約などが典型)。

リスク受容
 リスク発生に伴う損害が小さい場合にこれをあえて放置すること。

ぅ螢好軽減
 リスク発生に伴う損害を許容範囲内に抑えるために各種施策を講じること。(複数資産への分散投資や定期的な資産のリバランスもこの手法の一つと考えられる。)

 現実問題として、全てのリスクを回避できるかというと、それは難しいでしょうし、それでは飛躍のチャンスも失います。また、リスクの移転も、今回のような大規模災害が発生すると、再保険契約なとを通じて世界の保険会社の屋台骨がゆらぎ、支払が難しくなることもありえます(今回は支払ってくれそうですが・・・)。完全な他人任せは許されないということでしょう。リスク受容も、まず自分が受容できるリスクと、リスク要因が発生した際の損害等も定量化することが必要になり、限界があります。

 いろいろ考えていくと、やはり「卵はひとつの籠にもるな」というリスク分散による軽減がリスク管理の最も基本であるように思えてきました。ユダヤ人の資産三分法とか、華僑が子供達を別々の国に住まわせるとか、結局、そういった先人の教えが最も正しいということなのでしょう。

 今後起こりうる変化にいち早く適応できるようにするためにも、資産の分散に限らず、エネルギー源の分散、収入源の分散、スキルの分散、人付き合いの分散、住まいの分散など、改めて自分の身の回りの分散度(多様性)をチェックする必要がありそうです。

 追伸
 気になる原発関連ですが、テレビのアナウンサーと御用学者の掛け合いよりも以下のサイトの方がより分かりやすい気がしましたので、まだ読まれていない方のためにリンクを付しておきます。

福島第一原発で何が起きているのか

だからチェルノブイリとは違うって何度言えば分かるんだってばよ!原発についてまとめてみた

| cpainvestor | 01:30 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
松井選手獲得はバリュー投資となるか


 松井秀樹選手がケチケチ球団で有名なビリー・ビーンGM率いるオークランド・アスレチックスに入団することがきまりました。
 アスレチックスは、前回のエントリーで紹介した「マネー・ボール 」に詳しいですが、セイバー・メトリクスという統計的手法を使って、獲得年俸の割にチーム勝率向上に貢献しそうなコストパフォーマンスの良い選手を発掘し、これをうまく使って経営を安定化させていることで有名な球団です。より具体的には、打者の場合、チャンスに強いか否かなどはほとんど気にせず、四球を選ぶ選球眼が良く、出塁率が高いわりに年棒が割安な選手を好んで雇い使う一方、それなりに活躍して年俸評価額が上がった選手は、躊躇なく放出して利益確定する、そういったポートフォリオのリバランス的な発想で野球選手を取捨選択していると上記書籍に書かれています。
 確かに今期の松井の成績を見ると、出塁率3割6分1厘は、リーグ内でもかなり高い水準で、イチローも上回っていることがわかります。年俸は425万ドルと、この球団の選手としてはかなり高めなのかもしれませんが、全盛期の松井の年俸(1,300万ドル)から比べれば、かなりお得感があります。選球眼は加齢での衰えが少ないとも言われている上に、単年度契約でリスク限定もしているということになれば、アスレチックスにとってはかなり良い買い物をしたということなのかもしれません。また、松井にとっても、この球団でレギュラーとして出番が保証されるということであれば、再奮起をする働き場所として申し分ない環境なのではないでしょうか。松井と同い年の自分としては、ぜひアメリカでもうひと花咲かせてもらいたいと思います。

 松井はアスレチックスにとって、成熟産業の中で着実に残存者利益が確保できそうな低PBR株投資といったところなのかもしれません。来年、実際にバリュー株効果が出るかどうかは見ものです。

 そういえば最近、日本の資本市場もバリューな中小型株やREITが少しずつ上昇してきましたね。ここからじっくり長期投資といきたいところですが、日本経済の中長期的なマクロトレンドを考えると、ほどほどのところで利益確定することも重要なのかもしれません。私の場合、目先の住宅資金確保という目的もあって、配当利回りの魅力もなくなったこのREITを先週全株売却して利益確定し、住宅購入資金口座に移しました。

| cpainvestor | 01:13 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
地方都市のビジネスホテル戦争に思う


 職業柄、地方都市への出張は多いのですが、最近は、お客様の経費削減に協力するため、宿泊は割安なビジネスホテルを利用することも多くなりました。以前は、「安眠できてお風呂も大きく、朝食も豪華なホテル」を選びたいというこだわりもありましたが、今はよほどの長期出張で宿泊が続くことがない限り、「熟睡できる」という条件さえ満たされれば、それ以外はあまり気にならなくなりました。

 今週、ある地方都市に宿泊しましたが、駅から徒歩7〜8分、インターネット回線や液晶テレビ完備、お風呂も大きく相当豪華な朝食ビュッフェがついて、一泊5,000円でした(オムレツなどをその場で焼いてくれる人がいる形式です)。この地方都市の場合、少し設備が古くても良ければ、駅から徒歩5分、簡素な朝食つきで一泊3,000円から宿泊できるところもいくつかあります。何年か前に駅前の商業施設等が撤退して、その跡地に東横イン、ルートインなどの格安ビジネスホテルチェーンが立て続けにできました。その結果、この地域の客室数は明らかに供給過剰となり、激烈な価格競争が勃発、現在の中心価格帯は4,000円台前半だと思われます。

 このようなビジネスホテルの価格破壊は、現在多くの地方都市で起こっているのではないでしょうか。徹底したローコストオペレーションが確立している東横インが進出すると、その地域の宿泊単価が10%以上下がるというのを以前どこかで聞いた記憶があります。
 「駅前の土地有効活用を!」という金融機関や不動産会社のセールストークに乗って、家業の小売店などに見切りをつけた一族がビジネスホテルを経営しているというのはよくあることだと思います。建てた後、数年は見込みどおりに集客できていたとしても、10年も経って設備がやや老朽化したところで、もっと駅近に競合ホテルができたりすると、この手の家業系ビジネスホテルはひとたまりもありません。もともと、宿泊と朝食という非常にシンプルなサービスに特化しているビジネスモデルですから、差別化の源泉となる付加価値のつけどころが極めて限られます。その結果、設備稼働率維持目的の値下げに走ることになります。インターネットの宿泊予約サイトの発達で、同一エリアのホテルの宿泊単価と条件はほとんど一覧できてしまいますから、供給過剰が続く限り、極限までサービス、価格競争がなされることになります。

 このような状況は、ビジネスホテル利用者としては歓迎すべきことではありますが、経営者や投資家にとっては、まさに「砂漠の消耗戦」を地で行くような苦しみが強いられることになります。「いくら株主優待に魅力があって立地に優位性があると思っても、資金回収に長期間を要する国内系施設稼動型ビジネスに、長期投資をしてはいけない。
 古ぼけて看板の明かりも消えかかっているようなビジネスホテル群を見ながら、そんなことを改めて思いました。

追伸
 このように考えていくと、自宅の購入も、投資家の視点を失いたくはないのですが、冷蔵庫や洗濯機と同じ「耐久消費財の購入」だと思わないと、なかなか決断ができないのかもしれません。

| cpainvestor | 23:21 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
いい銘柄を見つけ、いいタイミングで買い、いい会社である限り持ち続ける



たまには投資の話題でも。

 今年は、2月を底に世界中の株価が上昇に転じ、ここまで順調に推移しています。昨年は、新興国のパフォーマンスが圧倒的に良かったわけですが、今年は、先進国にもその恩恵が波及してきたのかもしれません。
 私は今年に入ってから、既存銘柄の買い増し以外の取引はほとんど行っていません。ただそれでも、今年3月までのパフォーマンスは、年初来で+14.6%と、各国指数に連動するような形で推移しています。私の個人ファンドは2007年10月を天井にして、2009年3月まで36%も下落したわけですが、そこから約1年で、ほぼ同じ水準まで戻ってきました。
 ただこの間にも、働いて得た所得の一部を、できる範囲で定期預金ではなく運用資産に組み入れ、自分なりに「いい銘柄」と思う会社を淡々と買い増ししてきました。
 一時期は、自分ではここぞというタイミングを測ったつもりで入れた追加資金が、更なる下げ相場に巻き込まれ溶かされて泣きました。ただ、相場が反転して以降はそのようなこともなくなり、残高ベースでは昨年末に2007年10月の水準近くに戻りました。この時には本当に、定期積立投資と複利の効果を実感しました。

 今日の冒頭のタイトルは、例によって、ウォーレン・バフェットの言葉です。例えば、この会社のように、過去何年間も好業績を続けていて利益率の高い銘柄は、ほとんどのケースにおいて「いい銘柄」なわけで、そういう銘柄を「持ち続ける」という意思決定も、良い業績やブランド価値を維持している限り、難しくないわけです。難しいのはやはり、こういう銘柄を「(2009年上半期のような)いいタイミングで買う」ということなのだと思います。

 株価の天井と大底を予測してタイミング良く投資資金を出し入れするなどというのは、凡人にはまずできないのではないでしょうか。できるのはせいぜい不景気だと思う時に、いい銘柄を少しずつでも買い続け、好景気だと思う時に休む(売却できればなお可ですが・・・)ことぐらいなのではないでしょうか。(これに加えて一定ルールでの損切りも必要だと私は考えていますが。)

 改めて、定期収入があって働く期間が長い若手・中堅サラリーマンこそ、現物のバリュー投資が最も向いているような気がします。幸い先進国の株価は、過去の高値から見ると、まだそれほど上昇したようには見えません。せっかく新年度を迎えたことです。男性であれば飲食代、女性であれば、洋服代や化粧品代を少し節約して、心機一転、少額ずつでも「ブルーチップと言われるような良い銘柄」への長期投資を始めてみるのも良いのではないでしょうか。(まあ、こういうことを私が書く時が、短期的には直近の高値であったりもするので、もし本当に投資を始める場合には、慎重に少しずつ打診買いをすることを推奨します。)

 投資を始めるにあたっては、最近角山さんが公開されたこのコラムに、とても良いことが書いてあるように思いましたので、一読されることをお勧めします。

| cpainvestor | 01:14 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
フラット35の積極的な繰上げ返済を迫るアドバイスは適切か?


 最近、住宅購入を真剣に検討するようになって、住宅ローンの勉強をしています。少し検索するだけで、沢山のウェブサイトがヒットし、住宅ローン減税の効果まで考慮に入れて簡単な返済シミュレーションができる金融電卓サイトなどもあって、重宝しています。

 「インターネットと金融サービスの親和性が高い」というのはまさに真実で、住宅ローン金利や各種手数料、その他諸経費などの取引条件なども一発で比較できてしまう上、最も安い金利を提供しているのが、どのような会社なのかもすぐにわかってしまいます。審査の厳しさなどが不明ではありますが、リアル店舗を持たないモーゲージ専門会社の金利などを見ると、まさに「驚きの金利」が提示されています。特にこの会社の提供するフラット35の金利などを見ると、「35年間もの長期に渡って、この固定金利でそれなりの金額を借りられる個人など、世界中探してもそうそういないのではないか」と思ってしまいます。

 ただ、気になるのは、何人かのフィナンシャルプランナー(FP)のWEB上のアドバイスなどを読むと、まるで判を押したように、「なるべく余裕をもってまずは長期で借りておき、お金ができた時にこまめに繰上げ返済をしましょう」というコメントばかりが目につきます。この種のアドバイスを見かけるたびに私は首をかしげてしまいます。

 にわか勉強ではありますが、フラット35のような長期固定金利で住宅ローンを借りて住宅購入をする場合には、以下のようなメリット・デメリットがあるのではないでしょうか。

<メリット>
1. 現状では、長期間、かなり低い固定金利(現状はこれに住宅ローン減税がつく)で資金調達できる上、元利均等払いを選択すれば、月々の返済額が固定化でき、家計管理が行いやすくなる。
2. 住宅ローン返済期間は、団体生命保険の強制加入により、世帯主死亡時に遺族による無償での住宅取得が可能になるため、借家暮らしの場合に比べて扶養家族にかける生命保険の金額を抑制できる。
3. 国家財政悪化による将来の悪性インフレリスクを、ある程度ヘッジできる。
4. ローン返済後は、住宅が自己資産となる。

<デメリット>
1. 現状の変動金利に比べ、若干割高の固定金利を支払うことになり、返済が長期に渡るほど、利息相当分の返済額が大きくなる。
2. 長期間固定額の返済が続くため、失業や長期入院等により収入が途絶した場合に、返済不能リスクが高まる。このリスクは、住宅購入時のローン比率が高くなればなるほど顕著になる。
3. 借家であれば、蓄財できたであろう資産の運用収益をあきらめなくてはならない。

 前述したFPの方々の繰上げ返済のアドバイスは、デメリットの1、2をなるべく小さくすることを主目的になされているのだと思います。ただ、現状のような、歴史的に見ても、非常に低い固定金利での資金調達に成功したのなら、むしろ繰上げ返済などせず、メリット1、2、3、4を徹底的に活用するアドバイスをすべきなのではないでしょうか。つまりこういうアドバイスです。

 公務員、財務状態の良い企業にお勤めの皆様、夫婦共働きの皆様は、以下の方法によりフラット35の期限の利益をフル活用することをご検討下さい。
・20%程度の頭金が用意できれば、予算の範囲内でできるだけ立地の良い売却可能性の高い場所に不動産を購入しましょう。
・ フラット35でのローン申込みと約定返済を少なくとも10年は続け、住宅ローン減税の便益を最大限に活用しましょう。
・ 繰上げ返済が可能な原資は、インデックスファンドや債券で運用して、住宅ローン金利を上回る運用を目指しましょう。その際、半額ぐらいは外貨建債券での運用も検討しましょう。
・ 住宅ローン減税適用期間終了後、そのまま運用と返済を続けるか、運用資産と住宅ローンを相殺するか、その時々の家計の状況を鑑みながら、定期的に検討しましょう。

 上記アドバイスは、万人受けするものではないことは百も承知です。ただ、比較的若い世代で、与信能力が高い上位20%程度の住宅ローン利用者(特に住宅ローン減税の効果を最大限享受できるような所得税負担者)には有効なのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。

 そういいながら、私の周りでも、夫婦共働きで優良上場企業に勤めながら、FPさんの言うようにボーナスのたびにせっせと繰上げ返済に励んでいる方が多いのですが・・・。

| cpainvestor | 21:46 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
あらかじめEXITを想定した居住用不動産の購入


 以下、2月23日の日経新聞から一部引用です。

不動産ファンド落日、大型物件の処理停滞
 国内外の不動産ファンドが2006年から08年にかけて投資した大型物件の処理が滞っている。ファンド各社は購入資金の大半を外部借り入れで調達したが、市況悪化で融資の返済期日を迎えても物件売却やローンの借り換えにめどが立っていない。銀行側がやむを得ずローンを延長して問題を「先送り」する事例も目立つ。これが日本の不動産市況の回復を遅らせているとの指摘も多い。(引用終わり)

 
最近、上記のような類の記事をいくつか読むにつけ、「不動産もそろそろ買い時なのではないか?」と考えるようになりました。含み損を抱えて身動きがとれなくなったファンドや投資会社が、資金繰りの都合で不動産を手放し損失を確定する状況が出て来れば、そこで初めて物件が動き、市況も底入れするはずです。ただ、「底入れ」が皆に分かった時点では、不動産関連指数はかなり上昇してしまっているでしょうから、その前のどこかのタイミングでアクションを起こすとなると、「そろそろなのかな?」と思うわけです。参考までに、以下に、不動産関連株と東証REIT指数の過去5年間の株価推移を記載しておきます。

不動産関連指数の推移



  これまで、不動産流動化銘柄やREITといったものには、「ビジネスの仕組みそのものが利益相反なのではないか?」という疑念(リンク先コラム参照)がぬぐえず、投資を避けて来ました。ただ、一昨年・昨年の不動産株やREITの大幅価格下落で、だいぶ魅力的になった配当利回りを見るにつけ、「この水準ならば上記疑念を考慮しても、少しREITを購入しても良いのでは?」と思うようになりました。そこで、昨年末あたりから、米国銀行株を売却した資金を元手に、物件内容の比較的良さそうなREITを最低3年は保有するつもりで淡々と仕込んでいます。(実際のところは、職業制約で日本の個別銘柄がほとんど購入できなくなった腹いせでもあります。)

 また、私生活においても、昨年から借りている転勤留守宅の優先使用期限があと2年となっている上に、家族が増えたこともあり、そろそろ次の住居を検討しなければならない時期にきています。できれば、今と同じような駅近のロケーションで、築浅の中古住宅でも出ないかと思いながら、時々ネットの不動産情報や、地元の不動産屋の情報を物色しています。
 現在住む家のすぐ近くにも、新築の建売住宅がいくつか出ているのですが、20坪程度の日当たりの悪い敷地に、かなり無理して建てた速成3階建て物件が目立つようになってきました。「たとえ小さくてもマンションよりは一戸建てが良い」というニーズがあるからこそ、作られている物件なのでしょう。ただ、せっかく駅近の場所にあるのに、この物件仕様と敷地面積では、将来の売却プランが非常に描きにくいように思います。

 多くの人にとって、人生で本当に広い住宅が必要な期間は限られているはずです。日本の人口減少で右肩上がりの不動産価格は見込めない以上、たとえ居住用不動産であっても、その購入にあたっては、「20年後に一定額以上でEXIT(換金)できる立地、面積か?」という視点が、ますます重要になってきているような気がしています。

 若干不謹慎な言い方になってしまうかもしれませんが、近隣の一戸建て物件にも高齢者の夫婦住まい、1人住まいなどが増えているので、今後確実にそれなりの戸数の相続や代替わりによる物件売却が出てくると思っています。古くからある地元の不動産屋さんに声をかけておき、不確実性を考慮した資金計画のマニアックなスプレッドシートでも作りながら(こういうものを作ってしまうのは職業的な性でしょうか)、良質かつ割安な物件が出てくるのをじっくり待ちたいと思っています。
 そしてもちろん購入の際には、ハイパーインフレへのヘッジと節税効果を最大限享受すべく、レバレッジ活用によるBS膨らまし作戦を、ある程度は実行してみたいところです。

| cpainvestor | 00:28 | comments(3) | trackbacks(0) | pookmark |
ジュピターテレコム争奪戦に思う


 ジュピターテレコム(以下JCOMとします)のTOBが現在の第二位株主である住友商事から発表されました。住友商事としては、自社のメディア事業の中核企業としてこの会社を大切に育ててきたのでしょうから、KDDIなんぞに後から横取りされてたまるかということなのかもしれません。

 ここで、JCOMという企業について簡単に見てみましょう。

 日本のケーブルテレビ業界では圧倒的なシェアNo.1の地位にあり、毎年のように各地域のケーブルテレビ局を傘下に収める買収を繰り返して成長しています。(JCOMは米国会計基準採用企業なので、買収のれんが非償却となっています。その結果、下図BSグレーの無形固定資産部分がとんでもなく大きくなっています。)
 傘下に収めたケーブル局の契約顧客には、JCOMの多彩な番組プログラムを提案し、高速ネット接続やIP電話を合わせて提案することで確実に顧客のサービス単価を上げ、買収シナジー実現を図っていく。このような明確な事業戦略で、着実に契約顧客残高を積み上げ、これまで堅実に成長してきた優良ストック型サービス企業といえそうです。

 KDDIは、住友商事の合弁パートナーであった米リバティーグローバルからJCOM株を保有する中間持株会社の株式を相対で譲り受け、一気に筆頭株主(38%)の地位を確保することを狙いました。この出資により、ネット接続業者としてのシェアとコスト競争力を高め、同時に自社の光回線や電話サービスなども一気に拡販するシナリオを描いていたのかもしれません。KDDI にとっても、経営権がとれない投資案件であるにも関わらず、当時の株式市価に5割以上ものプレミアムをつけて、3,600億の巨費を投じて株式取得を決断したわけですから、大勝負であることは間違いありません。

 ただ、これだけの大勝負を行う以上、KDDIも株式取得に伴うビジネスリスクや法務リスク、財務リスクなどは、短期間であったとしてもそれなりに検討したものと思われます。M&Aに少し詳しい弁護士や会計士に相談していれば、独禁法やTOBルールへの抵触の有無などは、最初に検討されていることなのではないかと思います。仮に、今回の案件で、どこかの法律事務所が、単純に法形式だけを見て、「TOBルールには抵触しないから100%大丈夫!」などとお墨付きの一筆など入れていようものならば、この法律事務所、既に今頃、業界では生きていけない状況に追い込まれているかもしれません(笑)。
 報道によれば、「市場外での中間持株会社株式の取得が上場会社の1/3以上の持株を取得する際に求められるTOBルールを潜脱するものではないか」ということで、金融庁から待ったがかかったようです。取引の経済的実体を見た場合、このようなリスクは法律事務所としても当然に指摘しておくべきで、これを受けた財務アドバイザーたる投資銀行は、KDDIと一緒になって、想定されるリスクが顕在化した場合の「二の矢」、「三の矢」をあらかじめ用意しておかなくてはなりません。その中には当然に、住友商事が対抗TOBに出てくる可能性への対処策(買収価格高騰に備えたファイナンスの手当てなどを含む)も入っていなくてはならないのだと思います。
 しかしながら、KDDIの一連の動きを見てみると、「金融庁の指導に基づき、出資比率を少し引き下げます」という「どう見ても若干しょぼい二の矢」を打って以降、今のところ沈黙を続けています。今後KDDIがどう出るのか、経営陣とアドバイザーの力量が問われます。

 このような事例をみていくと、やはりとおり一遍の法律・会計・税務などの制度だけをチェックして個々の論点を判断しているだけでは、意外なところで足もとをすくわれる危険性があることがよくわかります。

 「顧客のビジネスを深く理解し、ディール全体のリスクを見極め、交渉シナリオをいくつも想定して、詰め将棋のように2手先、3手先、4手先のアイデアを常に考えておく。その上で、タイミングを見計らって、的確かつシンプルなアドバイスをする。」

 まったくもって、「言うは易し、行うは難し」ですが、まずはもっと小さな案件で、一歩一歩、修行を続けていきたいと思います。

| cpainvestor | 01:17 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
浪費と投資


 昨年お会いした業績堅調のベンチャーの社長さんに、久しぶりにお電話したところ、「いやあ、今年の新卒採用活動は、私自らが動いているのでとても忙しくて・・・」という返事が返ってきました。この会社、今年に入ってから、自社のインフラ整備のための設備投資を大きく打っていますし、今度は社長自ら東京・大阪に出向いて採用活動です。このご時勢で、完全に「逆張り投資」を地で行っています。
 この社長さんに、「御社は、このご時勢でもコスト削減など無縁ですか?」とお聞きしたところ、「いえいえ、そんなことはありません。オペレーションコストの削減活動は、昨年にも増してやっていますし、人件費もほとんど上げていません。私の交際費も、昨年より削減していますよ。」という答えが返ってきました。まったく、見習わなくてはならないオカネの使い方です。

 不況の影響で、「(私も含めて)もっと財布の紐を締めて節約しなくては!」と思っている人は多いでしょう。ただ、ここで改めて思うのは、「浪費と投資」を峻別することの重要性です。「浪費」を減らせば、オカネがたまり、これを原資に「投資」ができるようになります。不況に伴うデフレの進行で、モノやサービスの値段もジワジワと下がってきています。こういう時こそ、自分が「投資」だと思うものに逆張りで大胆にオカネを使うことが、将来有形無形の大きなリターンを生むような気がしています。

 以下、最近私が「投資」だと思って、オカネを使ったものです。

 書籍・雑誌(仕事関係の本を中心に以前よりも購入予算を上げる一方、中古本の購入も取り入れて調達冊数増加、専門雑誌の年間購読も新たに追加。)
 通信教育教材(内容は秘密です。久しぶりに会計とは直接繋がらない特定分野の勉強をしようかと思っています。)
 BOSEのノイズキャンセリングヘッドホン(下図参照:電車の中での学習時間の集中力をより高めるために購入しました。カバンの荷物は増えましたが、その「静寂」は期待を裏切らないもので、かなり気に入っています)
クワイアットコンフォート3  クワイアットコンフォート15
 株式(追加資金を米国と中国に投入し、新たな銘柄をいくつか買いました)
 子供の絵本(昔からのベストセラーなどをまとめ買い、子供達のための本だけはいくら買っても良いとさえ思っています。)
Ρ蠅離灰丱吋鸞莇絅撻▲船吋奪函焚板軻皀螢譟璽轡腑鷆化を狙ったものですが・・・効果微妙)

 そういえば、私の業界の仕事の需要も、お客様にとって「必需品系」か「投資系」だと思ってもらえるものだけが残っているような気がします。会計監査サービスは「必需品系」のサービスですから、こっち方面で働いている元同僚などは、第二四半期決算監査で忙しそうです。ただ、顧客にとっての「投資系」のサービスで繁盛している方は、ごくわずかなようです。「本物」かどうかが試される時代になりました。

 今週は、こちらのセミナーで「合理的な経営意思決定」に関する話をしようと思っています。「意思決定なんてカリスマ社長の勘ピュータと結果オーライなんじゃないの?」と思っているような方々の参加をお待ちしております。せっかく資料を作りこみましたので、ご興味のある方は、ぜひどうぞ。東京会場の方はまだ、お席があるようです。このセミナー、業績堅調なスポンサーの会社様にとっての、「投資系」サービスだと思いますので、受講者の皆さんは、無料です(笑)。

| cpainvestor | 23:40 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
「投資の日」雑感


 10月4日は「投資の日」だそうですので、久しぶりに株価の話題でも。
昨年10月の暴落は本当にすさまじいものがありましたが(リンク先保存記事参照)、それから約1年が経過して、世界の株価は大分戻してまいりました(下図チャートはYAHOO Financeにて作成転載)。投資家の皆さん、ちゃんとリバウンドを拾えたでしょうか?

世界の株価指数 Oct.2009

 リンク先の2008年の株価下落率と上図を見比べてわかるのは、「新興国の暴落とそのリバウンドは、先進国のそれよりも大きい」という傾向でしょうか。
 ただし、日本だけは、暴落がきつかったにも関わらず、リバウンドは弱くなっています。このトレンドを、日本の一個人投資家としては、「日本だけが出遅れている、チャンスだ!」と思いたいところですが、世界の投資家から見れば、「世界に先駆けて人口減少社会が到来した日本経済の閉塞感の象徴」と捉えられているのかもしれません。

 個人的には、未来ある子供達のためにも、「日本経済の底力」に期待したいですし、「今日より明日はより良くなる」と信じて日々の仕事に取り組んでいるつもりです。ただ、冷静に日本の生産年齢人口の急激な減少予測などを見るにつけ、「少なくともなけなしの財産の方だけは世界に分散しておく方が良さそうだ」と思うようになりました。

 中国株への投資は5年ほど前から、米国株への投資は3年ほど前から取り組み、少しずつ組み入れ比率を増やしてきましたが、今年に入ってからの中国、米国の株価指数の上昇で、結果としてかなりの外国株を保有することになってしまいました。為替リスクもあり情報量の制約がある外国株を多数保有することは本意ではないのですが、職業上の諸事情も考えると、やむを得ない選択になってしまっています。

 外国株投資の副産物としては、投資候補先のAnnual Reportやプレスリリースなども目を通すようになったので、以前より英文を読む努力をするようになったことでしょうか。Annual Reportのカチッとした英文の言い回し(なぜか受動態が多い)は、ビジネス英語学習者にうってつけのコピペ教材であるように思うのは、会計マニアの私だけでしょうか。

| cpainvestor | 23:04 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
高品質・高付加価値化という袋小路


 連休中、昼は息子達の遊び相手に専念しましたが、夜は少し時間があったので、久しぶりに紙の会社四季報を購入して、個別会社の業績推移などを丹念に見ていました。

 その中で、かつてのウォッチ銘柄で、国内メガネ業界のNo.1企業、三城ホールディングス(7455、以下三城と表記します)の業績のあまりの凋落ぶりに驚き、少しこの業界について調べてみました。

 以下は、メガネ業界のNo.1の三城とNo.2メガネトップの業績推移です。ちなみに三城は、元TBSアナの進藤晶子さんを使った「パリミキ」、メガネトップはヨン様を使った「眼鏡市場」というブランド名で店舗展開をしています。

メガネ2強業績推移

 一見してわかるように、両社の業績ベクトルは真逆です。
 5年前は小売業界トップクラスの経常利益率(15.6%)を誇った三城は、つるべ落としのように業績を悪化させ、09/3期には赤字転落しています。一方、5年前にはたいした利益をあげていなかったメガネトップは、09/3期において11.6%の経常利益率を達成しており、完全に立場逆転です。まさに、「ヨン様恐るべし」です。

 この5年間にメガネのマーケットではどのようなことが起きていたのでしょうか。以下は、愛眼(9854)の決算説明資料より転載した国内メガネ小売市場規模の推移です。途中でデータソースが変わっているので、そのまま信じることはできませんが、6年間で17%以上という、ものすごいスピードでマーケットが縮んでいることがわかります。

メガネ市場規模推移

 次は同じく愛眼の決算説明資料から転載した国内のメガネ小売チェーン各社の店舗数推移です。毎期順調に店舗数を増やしてきたのは、メガネトップだけであることがわかります。特に直近の半期は、業界各社が次々と不採算店舗の閉鎖に追い込まれている中、メガネトップだけが大量出店を継続しており、まさに「独り勝ち」の状況です。
店舗数推移
 
 メガネ業界は、1993年にインターメスティックという会社が「ZOFF」というブランドで「メガネ一式5250円、7350円、9450円」という低価格業態を出店して以来、徹底した価格破壊が進みました。日本でデザインだけを行い、中国の契約工場で安いフレームとレンズを大量生産するという「メガネ版ユニクロ」といっても良い革新的なビジネスモデルの出現です。これに追随し、「メガネ一式18,900円ポッキリ」という分かりやすい低価格ワンプライス業態「眼鏡市場」を開発、地価の安いロードサイドにフランチャイズを含めて素早く展開したのがメガネトップです。「ZOFF」というカテゴリーキラーの出現を、市場が大きく変化する兆し(メガネは一つを長く使い続けるもの→メガネは場面に応じて使い分けるもの)と捉え、いち早くこの低価格業態に集中するという決断をした、業界弱者ならではの戦略転換の勝利と言えるでしょう。

 これに比べて、三城は「ZOFF」の出現を「低品質の安物を売る異端者が市場を荒らしている程度で、いずれ駆逐される」とでも考えたのでしょうか、この業態に本格的に参入することはありませんでした。これは業界最大手として、現に高収益を享受している企業としては、当然の対応かもしれません。「三城の顧客は、高い品質とサービスを求めており、そのために高単価を受け入れてくれている。彼らのニーズを満たすことこそが、自分達の生きる道だ」と考え、自分の顔にジャストフィットしたデザイナーズメガネがリーズナブルな値段で手に入る「ミキデザインシステム」の開発を進めます。いわゆる高品質化、高付加価値化へのシフトです。

 しかしながら、業界の価格破壊は続き、「高品質、高付加価値メガネの市場」はどんどん萎みました。結果、三城は現在、袋小路に追いつめられ、大量の不採算店舗の閉鎖を余儀なくされています。

 この「高品質・高付加価値化の袋小路にはまる」というのは業界の強者企業がよく陥りがちな罠であるといえます。この「競争力を強化するため、既存の優良顧客のニーズをとことん聞いているうちに、市場の構造変化に乗り遅れる」という矛盾は、「イノベーションのジレンマ」とも呼ばれ、下記のクリステンセン教授の著書に詳しいです。投資家としては、「高収益の業界トップ企業だからといって安心してバイ&ホールドをして良いわけではない」という教訓を肝に銘じ、常に市場の変化に敏感でありたいものです。

                         

 

 

| cpainvestor | 19:40 | comments(10) | trackbacks(0) | pookmark |

Calendar

 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< May 2017 >>

Profile

来訪者数(11/18/07より)

クリックで救える命がある。

経済・投資情報


Shops

Oisix(おいしっくす)/Okasix(おかしっくす)

過去の人気エントリー

Search

Entry

Comment

Trackback

Archives

Category

Link

Feed

Others

Mobile

qrcode