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ゼファーの民事再生法申請に思う
  
  東証1部上場の中堅マンションデベロッパー、ゼファー(8882)が民事再生法を申請しました。リクルートコスモス出身の飯岡社長が創業してからわずか6年で上場、それから7年で売上高1,000億円の大台を突破するなど、積極果敢な開発分譲と買収戦略で業容を拡大していた同社でしたが、2年前に買収した関西のマンションデベロッパー子会社、近藤産業の破綻が引き金となり、同社自身も資金繰りがつかなくなって破綻したようです。

  マンションデベロッパーのビジネスモデルは、過去に解説したとおり、「仕込む→作る→売る」のビジネスサイクルを高速回転させて資本効率を高め、いかにして資金繰りを安定させるかが重要であるといえます。この会社の過去の損益決算書を見ると、08年3月期の決算を含めてずっと経常黒字体質ですが(しかも07年3月期までは、ずっと増収増益基調です)、CF計算書を見ると、成長優先と土地の先行取得で、運転資本(特に売上債権と在庫)が増大傾向にあり、営業CFは06年3月期を除いて慢性的なマイナスが続いています。しかも、近年は他社買収をからめた積極的な成長投資で、投資CFも大きくマイナスとなっています。

ゼファー決算推移5年

  これでは当然、慢性的な資金不足の状態にありますから、ゼファーは3年前までは、主に複数回の増資、ここ2年は、借入によってその資金を賄ってきました。08年3月期の決算では、不動産市況の悪化により、買収子会社の破綻に加え、売上債権残高、棚卸資産残高も大幅に増加しています(CF計算書参照)。この状況で、金融機関からの融資の蛇口をキュッと閉められたら、たとえ東証1部上場企業であっても、ひとたまりもありません。典型的な「資金繰り破綻」と言えるでしょう。

  成長著しいマンションデベロッパーのビジネスは、土地の先行取得にからんで営業CFが慢性的に赤字となっていることも多く、残戸が滞留し始め、株価が低迷して増資ができなくなり、銀行からも見放されると簡単に破綻します。今の経営環境を考えると、第二、第三のゼファーが発生する可能性は十分に高いと言えます。

会社の決算短信には、以下の文面がありました。
目標とする経営指標
  当社グループは、投資効率を重視した経営を実行しており、良質の商品提供を行うことで、商品回転率を高めて更なる強化を図る一方、市場環境を鑑みながら、むやみに販売個数の拡大を図ることなく、適正な資産規模により確固たる財務基盤の確立をめざしております。


一方、会計監査人の監査報告書には、以下の文面がありました。
追記情報
  継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況に記載のとおり、会社は当連結会計年度において11,378百万円の当期純損失を計上し、社債の格付及び長期優先債務の格付が引き下げられている状況にある。当該状況により、継続企業の前提に関する重要な疑義が存在している。当該状況を解消するための経営計画等は当該注記に記載されている。連結財務諸表は継続企業を前提として作成されており、このような重要な疑義の影響を反映していない。


  投資家として、どちらを信じるべきかは明らかであるように思います。定量情報と矛盾した定性情報が出てくるようになったら、これはもう末期症状であるといえるでしょう。ご留意下さい。

  それにしても、マンション管理会社だけでもどこかの安定した会社に買収されて、この会社の分譲マンションを購入した方にできるだけ迷惑がかからないことを祈ります。
| cpainvestor | 01:07 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
残存者利益
ここのところ急に寒くなってきました。皆さん風邪などひいていませんでしょうか。私の周りでも風邪引きが多くて大変です。同じ部屋で仕事をしていると必ず移りますから、少しでも風邪を引いている同僚を見つけると、マスクの強制着用を指示します。(笑)

   寒くなってくると、思い出す銘柄が2つあります。ダイニチ工業(5951) と、デンカ生研(4561) です。いずれも夏場に仕込んで冬場に売却するには、最適の季節銘柄です。(この戦略の有効性は、デンカ生研でより顕著なようですが。)

   ダイニチ工業は石油ファンヒーターで業界No.1の専業メーカーです。国内の石油ファンヒーターのマーケットは、買い替え需要が中心の完全な成熟マーケットですが、多くのライバルメーカーが、このマーケットの将来性に魅力を感じずに、この事業から撤退もしくは縮小しているため、結果として、ダイニチ工業は、大きなシェアと利益を稼いでいます。(昨年は、石油ファンヒーターの生みの親、三菱電機が撤退しました。)上半期と下半期の業績が著しく異なる会社の典型例ですが、さすが雪深い越後の国にある会社です。雪国のニーズを確実にとらえる、痒いところに手の届く製品を製造・販売することで、着実に成長しています。
   バリュー株としても、かなり有名で、私が投資をしていた頃はPBRが0.5倍を切っていたと思います。最近はだいぶ高くなりましたが、思い出深い銘柄です。寒くなるたびに「ダイニチのファンヒーター、今年も売れているだろうなあ」と連想してしまいます。ちなみに、私も昨年、自宅用に石油ファンヒーターを購入しましたが、もちろんダイニチを購入しました。(私の自宅の書斎は北側にあり、恐ろしく寒く、家では「北極」と言われています。電気ストーブ、カーペットでは、電気代が高くなる割に、一向に暖かくなりませんので、やむなく、灯油購入の手間はあっても、石油ファンヒーターを購入しました。)

   
   デンカ生研は、インフルエンザワクチンで業界大手の企業です。こちらも毎年インフルエンザが流行るたびに暴騰します。ヒトの不幸で儲けるのはなんとも皮肉で、製薬会社の宿命ではありますが、冬を代表する銘柄です。昨年は、ワクチン製造の失敗というメーカーとして決して行ってはならない大失態を演じたおかげで、株価は暴落しましたが・・・。
   インフルエンザワクチンも、かつて全国の小中学校でワクチンの予防接種が強制的に行われていた頃は魅力的なマーケットで、多くの競合企業がひしめきあっていたようですが、結局、「その年に流行りそうなインフルエンザを当てる」という不確実性があるワクチンの投与は、小中学校での強制接種にはなじまないとうお役所の決定が出たとたん、マーケットサイズは激減、多くの企業が撤退しました。そのマーケットでなんとか生き残っているうちに、働く社会人や高齢者向けのインフルエンザワクチンの任意接種が予想外に伸びてきて、現在では、デンカ生研はかなりの高収益企業となっており、電気化学工業グループの孝行息子となっています。(昨年のワクチン製造失敗の影響を除く)


   両社に共通するのは、季節銘柄だということだけではなく、共に成熟産業における「残存者利益」を存分に享受している企業であるというところです。ここで、「残存者利益」とは、飽和市場や衰退市場において、他社が相次いで事業撤退した後、耐え抜いた企業が残った市場をほぼ独占的に獲得し、利益を上げていることを意味します。


   「残り物には福がある」ということわざは、投資の世界でも真実のようです。個人的には、こういう成熟産業におけるトップシェア企業は、業界のイメージのせいで、割安に放置されていることも多いので、投資妙味があることも多く、大好きです。当然ながら、ダイニチ工業については、ウォッチ銘柄には加えています。

   それにしても、季節感すらも投資銘柄と結びつけて考えてしまうのは、ちょっと思考回路が偏りすぎかもしれません。こんなことをばかり考えていたら、また、嫁に相手にされなくなるのが落ちなので、今度の祭日は、家族サービスに徹しようと思います。
| cpainvestor | 08:55 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |

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